2011年04月03日

アーク(7873)、潜在株式数が発行済株式数の10倍以上になる優先株の発行を発表する

 3月31日、東証一部・ジャスダック上場のアーク(7873)は企業再生支援機構、およびみずほ銀行、三菱東京UFJ銀行等金融機関への優先株発行を発表した。プレスリリースはこちら

 今回の優先株発行は、新規出資および債務の株式化により行われ、規模の大きさが目を引く。
 本件においては、アークはA種、B種、C種の3種の優先株を発行し、90億円の新規出資により発行されるA種優先株式が1億5000万株、約205億円の債務の株式化により発行されるB種、C種優先株式が合計4,730万株となっている。
 そして、A種優先株式では優先株1株と引き替えに普通株4株(つまり、普通株1株を15円で取得することになる)、B種およびC種優先株式では優先株1株と引き替えに3株の普通株を取得できる取得(転換)条項が定められている。
 そして、これらの優先株式が全て普通株式に転換された場合の株式増加数は、A、B、C種合計で7億4191万株にも達するという。半面、アークの現時点における発行済株式数は6,810万株となっており、仮に優先株が全て普通株に転換された場合、普通株式数の増大は10倍以上になってしまうのである。

 ここで問題になるのが、第三者割当増資に関する日本証券業協会、ひいては東証およびジャスダックの規制である。
 東証およびジャスダック(+大証)においては、希薄化率が300%を超える(=発行済株式総数の3倍以上の新株を発行する)第三者割当増資においては、『株式および投資者の利益を侵害するおそれが少ないと(取引所が)認める時を除き』上場廃止にするという規則がそれぞれ定められている。そして、希薄化率だけを見れば、今回のアークの優先株発行は明らかにこの規則に該当する。
 この点について、アークはプレスリリースの6ページ目、U.2.(5)既存株主への影響 の項でいくつかの理由を挙げ、上場廃止とはならず、上場が維持されるものと考えているという。
 詳しくはプレスリリースをご確認いただくとして、特に興味深いのは、上場が維持されると考えている理由の一つに『@本資金調達は機構法に基づき主務大臣の認可を受けて設立された公的な役割を担う法人である機構に対する第三者割当増資により行われるものであり、公的資金による救済としての側面を有すること』と述べている点である。
 つまり、アーク的には、取引所が上場維持の判断を行う際、今回の大規模増資が公的資金による救済であるという事情を考慮するであろうと期待していることがわかる。まあ、多分そうなるだろうと自分も思うが、どのような結論が出るかは一応見届けたい。
 むろん、上場が維持されたとしても潜在株式が大量に生まれるのは避けられない以上、潜在的な一株指標の悪化は避けられない。その辺は、株主責任と言うことで株主のみなさんが受け入れる部分と言うことになるのだろうねぇ。


 ・・・ところで、本件とは直接の関係はないが、どことは言わぬが目下国有化の可能性が盛んに議論されている某銘柄に対しても、公的資金を大量投入しての希薄化を行った場合でもこの論法なら上場維持が可能だな〜とか思ったりもしている。
 もちろん、最終的にどのような処置とするか決定するまでにはまだまだ時間がかかると思うが、仮に上場維持という形で決着する場合、大幅希薄化という観点での障害はあまりないと考えることができそうである。
 もっとも、技術的な問題で上場維持の是非が決まるわけではないのも間違いないところである。
 ・・・本当にどうなることやら・・・。
 
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2011年03月06日

KFE JAPAN(3061)、前期末株主優待を自社製品からQUOカードに変更する

 2月28日、名証セントレックス上場のKFE JAPAN(3061)は前期末株主への株主優待を変更すると発表した。プレスリリースはこちら
 前期末と言っても、KFEは3月決算の銘柄であるから、昨年3月の権利をとった株主に対する優待の問題である。KFEは今月末で今期末を迎えるのであるから、ずいぶん遅い話といえる。

 さて、具体的な優待内容の変更内容であるが、当初予定していた裸眼3Dモニター(KFEが開発中という新製品、実勢価格4万円相当とのKFEの自己評価)からQUOカード4万円分に変更するという。
 また、変更理由を要約すると、『開発中の新製品(3Dモニター)の開発が遅れていつ提供できるかわからないので、新製品の代わりにQUOカードを優待品とする』ということのようである。
 今回の優待変更については、金銭的価値という点については自社製品から金券への変更と言うことで、株主的にはたぶん問題ないと思われる。3Dモニターの価値をいくらと判定するかは難しいが、使い勝手という点ではQUOカードの方が圧倒的に上だと思われるので、3Dモニターをどうしても欲しかったという人以外は納得するのではないかな〜と妄想してみる。

 ただ、本件を株主優待ではなく会社経営の面から見ると、KFE期待の新製品開発が遅れていると言うことを意味しており、業績への影響が懸念されかねない状況と考えてしまう。というか、あまり開発が遅延してしまうと、同様の製品を他社が先に発売してしまう恐れもある。
 また、過去、テレビの新規開発がらみでは、キヤノン(7751)が特許紛争がらみの開発遅れを理由として家庭用SEDテレビ開発からの撤退を行ったのは記憶に新しい。さらに歴史をさかのぼると、1961年には東洋電機製造が自称発明家にだまされて?『安価なカラーテレビを開発している』という虚偽の発表を行った事件(東洋電機カラーテレビ事件)なんかもあったりする。
 新製品の開発遅延が珍しくないのは否定できないが、開発がずるずる遅れている上に遅延理由が二転三転するというのは株主的には不安を抱く事態だと思う。
 まずは早期に製品を世に送り出して諸々の不安を払拭してもらいたい・・・と全く無関係な立場から語ってみる次第である。
 
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2011年02月11日

ジアース(8922)、「Googleショック」の影響で業績を下方修正する

 10日、マザーズ上場の不動産関連企業、ジアース(旧IDU、8922)は業績の下方修正を発表した。プレスリリースはこちら
 
 今回の業績下方修正については、金額面はさておき会社側がその修正理由を『Google の不動産検索サービスの唐突な世界的な停止(Google ショック)に伴い』としている点が目を引く。

 ・・・ええと、「Googleショック」という単語は、自分は本プレスリリースで初めて目にしたような気がするのだが、自分の寝ている間に何かがあったのだろうか。
 あわてて「Googleショック」という単語をGoogleで検索したが、このへんが目についたくらいでジアースの業績修正の理由には当てはまらなさそう。
 まあ、実際の所は、ジアースとグーグルが共に始めたばかりの事業からグーグルが撤退したせいでジアースが進退窮まった、という(少なくとも日本では)ジアース固有の問題のようである。こう、「(ジアース限定)Googleショック」ということではないかと。

 この手の協業からの一方的撤退は時折見られるが、今回の事例が特徴的なのは、協業を行っていたグーグルとジアースの間に極めて大きな格差が存在していたことである。ジアースには失礼だが、売上、知名度、その他、何もかもと言っていいと思う。そのせいで、何というかジアースが一方的に切られてしまったかのような印象がなくもない。
 この印象をさらに強めるものとして、ジアースが出している本件協業に関するプレスリリースにおいて不気味なくらいグーグルを持ち上げている点を挙げたい。特に、1月27日に発表された協業終了のプレスリリースにおいては、グーグルとの協業停止のプレスリリースなのにやたらとグーグルを持ち上げ、『当社の社員に夢や希望そして存在する意味を与えていただいた』とまで述べている。いくらなんでも『存在する意味』というのは言い過ぎではないだろうかねぇ。社員のみなさんの士気がどうなっているのか心配である。

 ・・・自分は上記プレスリリース群を見て、なんかジアースがヤンデレ化したかのような印象を抱いてしまった・・・個人ならまだしも、組織というか企業がヤンデレ化するのは今まで見たことがない。
 一体ジアースはこれからどこに行くのだろうかねぇ・・・。
 
 
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2011年02月05日

ユビキタスエナジー(3150)、賞与引当金戻入で特別利益を計上する

 1月31日、ジャスダック上場のユビキタスエナジー(3150)は四半期決算の発表と同時に特別利益の計上を発表した。プレスリリースはこちら
 
 開示された特別利益の計上額は51百万円と四半期純利益(194百万円)の3割近くに上っており、規模の面から考えても開示すること自体には何の異論もない。
 ただ、特別利益の計上理由が、『冬期賞与を未支給としたことによるものであります。』とだけ記されていたのがとても切なかったので取り上げたくなった・・・。
 いや、このプレスリリースの裏では冬のボーナスを急遽もらえなくなってしまった従業員のみなさんがいるかと思うと、わずか一文で終わらせている本プレスリリース、ひいては会社がどうも冷たいように思えてならないのである。もちろん、IR資料としては何も間違っておらず、自分が余計な感傷を抱いているだけなのだが。

 一方、同時発表された四半期決算のプレスリリースの方を見ると、黒字決算となっており、本当に賞与を未支給にするほどの業績なのかと疑問を抱いてしまう。現金も相応の額を保有しているようだし。
 まあ、特別利益計上後も減益決算であり、業績予想達成のためには必須だったと言われればそれまでなのであるが、賞与ゼロというのは少し厳しいのではないかと思ってしまう次第である。日本航空なんか、経営危機になってからも賞与の見送り是非で大もめしていたからねぇ。

 ・・・なんというか、今回の賞与見送り、投資家視点では特に問題はないはずなのに、何となく違和感を感じてしまう。
 多分その違和感は従業員(会社員)視点で感じているのだとは思うが、ちと気になってしまうところである。
 
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2011年01月24日

アイビーダイワ(3587)、10株→1株の株式併合を発表する

 20日、JASDAQ上場のアイビーダイワ(3587)は10株を1株に併合する株式併合の実施を発表した。プレスリリースはこちら

 アイビーダイワはここ数年にわたり業績不振が続き、赤字や新規事業開始のためと称してたびたび増資を行ってきた。そのため、発行済株式総数は7億株超とふくらむ一方で、株価は1桁をうろつくという展開がここ2年ほどは目立っていた。

 今回の株式併合の背景には、現在のような株価水準(1桁)では(実際にやるかはさておき)ファイナンスによる資金調達が困難であることに加え、ジャスダックの上場廃止基準の株価水準−『月間平均上場時価総額及び月末上場時価総額が、上場株式数に2を乗じて得た数値に満たない場合』に該当したり、本年4月より適用される『(株価)10円未満である場合において,3か月以内に10円以上とならないとき』に該当し上場廃止になることを避けることが目的と思われる。

 本プレスリリースで興味深いのは、株式併合により株式の所有権を失う10株未満の株主(22名)に関する説明が大変充実している点である。端株の現金での買取は当然としても、プレスリリースのかなりのページを10株未満株主に関する内容に割いているうえ、希望があれば個別説明の場を設けることも検討しているという(ほぼ同様の記載はクロニクル(9822)の株式併合のプレスリリースにも存在)。
 おそらく、この点については大証すなわちジャスダックの上場廃止基準のうち、株式併合基準(このpdfの25ページ目、1.(14)g)への配慮であると思われる。会社的には、本併合はあくまでごく少数の株主にのみ影響し、かつ十分配慮すると強調することで本基準への抵触・・・というか抵触の可能性があると市場に思われるのを避けたいのではないかと。

 今回の株式併合では、発行可能株式数が併合と同時に10分の1になる上、株式所有権を失う株主も少数であるため、アイビーダイワが株式併合を理由に上場廃止になることはまず考えられない。
 ただ、そのアイビーダイワがここまで丁寧なプレスリリースを出すという前例を作ってしまった以上、上場廃止リスクを伴うような株式併合を行う会社が将来出た場合、どんな内容のプレスリリースを出してくるかは興味深い所である。
 まあ、そんな会社が出てこないのが一番なんだけどねぇ。

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2010年12月20日

デ・ウエスタン・セラビテクス研究所(4576)、今期売上高がゼロになることおよびマイルストーン開示に係る事業計画の修正を発表する

 15日、ジャスダック上場のデ・ウエスタン・セラビテクス研究所(以下DWTI、4576)は業績の下方修正を発表した。プレスリリースはこちら

 ・・・発表内容は売上高の下方修正で、今期246百万円を見込んでいた売上高がゼロになると言う発表である。DWTIは前期も売上高ゼロであったため、これで2期連続売上高ゼロという偉業を達成したことになる。以前ご紹介したキャンバス(4575)の売上がゼロになったという事例は四半期事業収益がゼロになったと言う話であり、DWTIはその8倍ほど売上がない期間が続いていると言うことになる。
 また、DWTIは09年10月の上場であるから、上場してから現在に至るまで1円も売上がないという言い方もできる。いやあ、実に美しい。今期見込んでいた売上(ライセンス契約の締結)は来期確保することを目指すようであるが、さてどうなる事やら。
 
 また、DWTIは同時にマイルストーン開示に係る事業計画の修正と題する資料を発表しており、自分としてはこちらの資料の方に注目している。
 マイルストーン開示では平成22年12月期(今期)、23年、24年の損益目標を掲げている。今回の業績修正の結果、22年12月期の売上がゼロに修正されたのは上記業績修正の通りであるが、なぜか23年、24年の業績予想は据え置いたままなのである。つまり、来期にライセンス契約を締結し得ようとしているはずの今期分の売上がどこかに消えてしまっているように見えてしまう。
 DWTIが11月に開示したマイルストーン開示資料によると、来期の売上高は別の医薬品?のライセンス収入で得る事を見込んでいるらしく、建設関係などで時折あるようないわゆる期ズレは発生しにくいと自分としては考えている。
 この原因として一つ考えられるのが、会社側としては、今期ライセンス契約締結ができなかった医薬品について、来期の契約ができるかどうか不明確なため、現段階では売上目標には計上しなかったというパターンである。
 まあ、それなら保守的な考え方ということで納得はできる。だったら最初から今期売り上見通しに最初から入れるなとか、売上予想に幅を持たせろと言う主張ももっともなのではあるが、ここは開示内容が少しでも実態を正確に表す方向に向かったことを評価しましょうと言うことで。

 ・・・社内の人は売上高ゼロが続く現状をどう思っているのだろうねぇ・・・。

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2010年11月20日

キャンバス(4575)、四半期事業収益がゼロになる

 12日、マザーズ上場の医薬品開発会社のキャンバス(4575)は第1四半期決算の開示を行った。プレスリリースはこちら

 プレスリリースをざっと見ていると、前期比で減収、赤字拡大、無配予想継続と経営状態がよろしくないが、遺憾なことに新興の医薬品開発会社としては特に珍しいものではない。
 だが、事業収益欄には注目せざるを得ない。1ページ目の業績欄には、前期第1四半期が49百万円であったのに対し、今期第1四半期の欄には『−』とだけ記載されている。この『−』の意味がプレスリリース中で一切説明されていないのは若干遺憾であるが、四半期損益計算書で事業費用と営業損失が全くの同額であることから、『−』の意味がゼロ(円)であるということがわかる。つまり、この期間の本業での収入は1円もなかったと言うことになる。

 ・・・株式市場において、売上高(事業収益)は利益に比べれば重視されない項目である。PER等、利益を元にした投資指標がいくつかある一方で、売上高を基準に算出する投資指標はそれほど有名ではない。
 だが、さすがに四半期の売り上げが一円もないというのはびっくりである。売り上げゼロ自体は提携契約の解消によるもので、事前に株主にも事実上告知されていたようである。
 が、こうして数字に出てくると感慨深い。なお、業績予想を見ると第2四半期も事業収益はゼロ、通期事業収益は0〜10億円と予想している。

 現在のところ、キャンバスは30億円近い現預金を抱えており、事業収益がない状態でも直ちに倒産の危険が迫るわけではない。
 ただ、中で働いている従業員の人は焦ることになると思う。営業以外の人であっても、無限ならざる会社資産の切り崩しのみで給料を得ていることは、心理的負担が結構重いのではないかと思う次第である。
 ・・・まあ、その会社資産も大半は上場時の増資で得たものなんだけどねぇ。
 
posted by こみけ at 16:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 銘柄ネタ(MSCB除く) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月14日

ノア(3383)、株価下落時における強制行使条件が付いた新株予約権の発行を発表する

 2日、名証セントレックス上場のノア(3383)は、大規模な第三者割当増資、CB(MSCBに非ず)、新株予約権(MSワラントに非ず)の発行を発表した。プレスリリースはこちら
 増資により調達する資金の用途は、LED事業への参入を目的とした、日本エーエムのLED事業譲り受けとのことである(プレスリリース)。


 今回のファイナンスで興味深いのは、新株予約権について、株価が一定水準(行使価額の半値=4,850÷2=2,425円)を下回った場合には新株予約権を強制的に行使しなければならないという条件(強制取得条件)が定められている点である。
 新株予約権を強制的に行使させる条項(行使指示条項)はMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権、MSSO)では珍しくないが、MSワラントの場合は行使価額の修正が行われ、株価が下落した場合でも新株予約権の行使で利益が出る可能性が高い。
 それに対して、今回のケースでは新株予約権の行使価額の修正はなく、強制取得時においても行使価額は4,850円、強制取得条件発動時の株価から見れば約2倍である。つまり、引き受け手は市場価格の約2倍で株を取得させられることになる。自分なら引き受けたくないねぇ。

 では、引き受け手はなぜこのような不利な条件で新株予約権を引き受けたのだろうか?この理由について、プレスリリースでは、新株予約権を引き受ける溝邉乃利雄氏、守田俊彦氏の両氏がノアの取締役に就任予定であることから『インセンティブ効果が期待できる』としている。
 確かに、株価が下がった場合に不利な条件で株を引き受けさせられるとなれば、通常のストックオプションを保有している場合とはやや違った意味で必死にならざるを得ない。
 特に、守田氏は現在日本エーエムの代表取締役を務めていることから、LED事業にも深く関与すると考えられ、増資までして買収した事業の責任の所在を明確化すると言う意味では評価できる。
 また、株価が上がった場合に利益が出る通常のストックオプションに比べ、既存株主の反発が少ない手法であるとも言える。

 一方で、溝邉氏、守田氏は日本エーエムの大株主である。今回、LED事業の譲渡価格が(岡本行生氏が代表取締役を務めるアドバンスドアイ株式会社の算定結果を参考に)370百万円と資産価格(棚卸資産のみ)の70百万円を大きく上回る価格になった(←ここ重要)。
 従って、日本エーエム側には事業譲渡益が出るであろうことを考慮すると、例え強制行使が実施されノア株の含み損を抱えたとしても、日本エーエム株の資産価値(評価額、あるいは純資産)向上と相殺できるのかもしれない。
 まあ、少なくとも今回の事業譲渡全体で損をすることはないと両氏は計算していると見るのが自然かと。どんな計算かは知らないが。
 

 ・・・個人的には、いざ強制行使が行われる段階になって、引き受け手の人が『ゐやだ』とか言い出した場合はどんな展開になるのかが興味深い。やっぱり裁判とかすることになるのだろうか。揉めている間に行使期間の時間切れとか迎えそうだねぇ。
 ・・・まあ、あくまでこれは仮定の話と言うことで。わざわざ強制行使条件とかつけているからには、きっと発動時の不利益は重大に受け止めたうえで新株予約権の引き受けを決断したのでありましょう。
 

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2009年06月21日

イチヤ(9968)、上場時価総額基準抵触により上場廃止が決定する

 5月29日、イチヤ(9968)は、自社が6月30日付で上場廃止になることを発表した。
 プレスリリースはこちら。また、ジャスダックの発表文はこちら

 ・・・イチヤは自分にとっては思い入れが深い銘柄である。自分が(ミニ株ではなく)初めて単位株主として保有した銘柄はイチヤだった。
 また、当ブログの看板記事となっているMSCB関連記事の知識を得るようになったのも、イチヤが株価低迷をしている理由を探しているうちにMSCBに行き着いたのがそもそものきっかけである。買付時は、なんでこんな株が安値で放置されているんだ、とか本気で思っていたからねぇ。PER3倍とかだったような気がするし。
 まあ、その後値動きの鈍さに嫌気がさして手放し、さらにその後しばらくしてだいたいの実情を悟ってしまったわけだが。でも、若干の授業料と引き替えに色々と学べたいい銘柄だった・・・。


 さて、話を戻して今回イチヤが抵触してしまった時価総額基準の話である。
 ジャスダックには時価総額基準は2種類定められている。一つは、時価総額が5億円(現在は3億円)未満の場合、そしてもう一つは時価総額が株式数の2倍未満の場合である。
 このうち、今回イチヤが抵触したのは後者である。詳細については文頭に挙げたプレスリリースをご覧頂くとして、概要だけ言えば、「本年2月に時価総額が株式数の2倍未満となり、3ヶ月連続でその状態が続いたので上場廃止」と言うことになる。

 イチヤもこの危機的状況に手をこまねいていただけではなかった。上場廃止を回避すべく、10株→1株の株式併合を行うことを3月30日に取締役会で決議した。併合日は5月28日、3ヶ月の猶予期間にギリギリ間に合うタイミングである。
 そして、無事株主総会の特別決議を通すことにも成功し、株式併合は予定通り行われた。5月末(29日)のイチヤの終値は24円、(言うまでもないことだが)時価総額は株式数の24倍となった。
 これでイチヤは上場廃止を免れたかのように思えたのだが、その夜、イチヤの上場廃止がジャスダック・イチヤの双方から発表された。無事クリアしたと思われていた上場時価総額基準への抵触が理由である。

 自分は今回の事態が発生するまで知らなかったのだが、『時価総額が株式数の2倍未満』という基準の判定方法は、実は2種類あり、上場廃止回避のためには両方をクリアしなければならない(参考リンク)。
 一つは、1ヶ月間の平均時価総額である『月間平均上場時価総額』から算出する方法、そしてもう一つは『月末上場時価総額』を用いる方法である。
 『月間平均上場時価総額』は、時価総額の1ヶ月間平均である。
 一方、『月末上場時価総額』は、その名の通り月末(今回は5月29日)時点での時価総額である。
 今回、イチヤが引っかかったのは『月間平均上場時価総額』の方である。

 『月間平均上場時価総額』の算出方法については、ジャスダックの諸規則内規に定められている。この規則では、時価総額の算出方法に加えて月間平均上場株式数の算出方法も定めている(上記リンクの1.(3))。
 今回のイチヤの事例を考えるのにあたり、諸規則で留意しておく必要があるのは、「併合4営業日前までは併合前の株式数、併合3営業日前以降は併合後の株式数を用いて月間平均上場平均株式数を算出する」という点である(管理人解釈)。
 この点を考慮の上で、本年5月におけるイチヤの月間平均上場株式数と月間平均上場時価総額を算出してみると表1のようになった。
 なお、本表は管理人の推測によるものであり、算出手順・結果が正確でないかもしれない点についてはご了承願います。

表1 イチヤの株式数・時価総額の推移
あくまで管理人推測です

 なお、5月25〜27日の株価については、ジャスダック諸規則において、時価総額の算出には最終価格を用いると記されているので(理論価格の10円ではなく)1円とした。
 本表より、イチヤ株の月間平均時価総額は月間平均上場株式数の約1.52倍であり、上場廃止基準に引っかかってしまうことがわかる。ちなみに、25〜27日の株価を10円と見なしても、約1.72倍と算出され、やはり上場廃止基準に抵触する。
 結局の所、併合前の時期に終値が1円をつけることが多かったのが致命傷(?)と言えるであろう。また、月間平均上場株式数が9億株近くと算出されており、併合後の株価上昇ではそれまでの低迷(時価総額不足)を補えきれなかったと言う面もある。
 後知恵を持って言えば、今回の上場廃止、確実に回避するためには5月上旬までに株式併合を行うべきだったと思われる。5月の月間平均上場株式数をなるべく低く抑え、かつ、株価を早期に1カイ2ヤリ状態から離陸させる必要があったのではないかと。
 まあ、株主総会の基準日とかで時間的にできなかったのかもしれないがねぇ。
 

 以上、本記事では、株式併合という対策を取ったにもかかわらず時価総額基準により上場廃止の憂き目にあってしまったイチヤについて考察を行ってみた。
 ・・・月末上場時価総額だけでは(今回のように)一時的に株価が上昇した場合に上場廃止とすることができないケースがあり、JASDAQが月間平均時価総額との二本立てで上場廃止の判定を行うのは理解できる。
 しかしながら、この仕組みについてのJASDAQの説明は不十分であると主張したい。せめて、説明文がホームページのQ&Aおよび諸規則のPDFファイルにしか記載されていない現状は改めて欲しいところである。たとえば上場廃止基準のページの脚注として記すとか、認知度を高める方法はあると思うのだが。
 もっとも、そのような細々とした点まで気を回さなければいけない銘柄になど投資しなければいい、というのが投資家的には正論のような気もする次第である。
 
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2009年03月01日

デザインエクスチェンジ(4794)、前期末現金同等物残高が0百万円になる

 デザインエクスチェンジ(4794、以下DEX)は、2月27日に08年12月期決算を発表した。
 プレスリリースはこちら

 この決算では、売上高を上回る純損失を出すなどDEXが深刻な経営危機下にあることが示されている。が、(極めて遺憾なことに)最近の新興銘柄の決算としては特に珍しいものではない。
 この決算に関して自分が注目したのは、連結キャッシュフローの状態である。
 営業CF、投資CFがマイナスとなっているため、財務CFでは補いきれず、現金が流出し、期末の現金同等物残高が0百万円となってしまったことが報告されている。
 また、連結貸借対照表を見ると、現金および預金の残高は647千円、すなわち64万7000円くらいであることがわかる。期末、経理担当者の人は大変だっただろうねぇ。
 
 現預金残高が64万7000円というのは、個人の若者としてはそれなりの金額である。だが、いくら若いとはいえ法人、しかも上場企業で見るべき桁ではない。DEXの企業規模を考えるまでもなく、明らかに運転資金が不足している水準である。
 DEXが(決算を締めた後も)1月、2月と経営を続けていることから、直後の資金ショートは回避したようであるが、このご時世の中、厳しい経営が続いているものと推定される。
 現状の改善のため、DEXが決算発表と同じ日に発表した『事業改善計画』で言及しているように、資金調達を行うのが一つの手であるのは確かである。
 しかしながら、現在の金融情勢を見る限り、DEXのような新興企業がまとまった資金(資本)調達を行うのは難しそうである。

 自分としては、DEXがこの苦境を乗り切るためにどんな手を使うのか、今後とも生暖かい目で見守りたい次第である。
 ・・・ほんとにどうするんだろう・・・。
 
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2008年10月12日

金融庁、アーバンコーポレイションに課徴金納付命令を出す

 11日付日経朝刊6面によると、金融庁は10日、アーバンコーポレイション(以下URBAN)に対し150万円の課徴金納付命令を出すことを発表した(リンク)。
 命令の理由は、6月にURBANがBNPパリバと結んだ300億円の資金調達契約計画のうち、スワップ契約の部分を臨時報告書に記載せず、投資家に情報開示していなかったからであるという。

 本資金調達は、300億円のCB発行と、(今回問題となった非開示の)300億円分のスワップ契約により構成されていた(参考:スワップ契約に関する当ブログの考察記事)。URBANはこのうち300億円のCB発行のみは公表した。が、株価下落を引き起こす危険性が極めて高いスワップ契約は当初公表せず、民事再生法を申請した8月になってようやく発表した。
 本件に関しては、URBAN株を保有していた個人投資家の人々が損害賠償請求訴訟を起こす動きが出ている。また、7日付日経朝刊7面によると、日本証券業協会(以下日証協)が今回のようなスワップ契約について、MSCBと同様の規制を作る方向で検討に入っている。
 金融庁が異例の速さでURBANに課徴金を課すことを表明したことは、これらの動きとは無縁ではないであろう。

 個人的には、金融庁が課徴金をURBANに課すのはいいとして、それと(可能なら)同時に大量保有報告書への記載方法に関するガイドラインを定めるべきではないかと主張する。
 今回の事例を教訓に、資金調達に関するプレスリリースや大量保有報告書にスワップ契約の記載を義務づけること自体は賛成であるが、何を記載するかを明確にしておくべきであると考える次第である。
 もっとも、必ずしも金融庁が決める必要はなくて、日証協や各証券取引所が決めてもいいと思うが。

 ・・・なんでそんな細かいところにつっこみを入れるかというと、この手の契約の類は、書きようによっていかようにも印象を変えられるように思えてしまうのである。
 たとえば、自分のような小悪党的発想では、今回のURBANのスワップ契約、書き方によっては好材料と錯覚させることも不可能ではないと考えてしまうのである。
 こう、URBAN側のCB発行のプレスリリース中に、CB発行の文言に続いて、
「・・・また、当社とBNPパリバとの間に、スワップ契約を締結いたします。本スワップ契約では、当社はCB発行に伴う資金払込日以前に調達予定資金の一部を受け取る契約となっております。本スワップ契約により、・・・」
といった(スワップ契約のうち、スワップ1のみを強調した)文章を挿入した場合、スワップ契約はむしろ好材料として受け取られる可能性もあったと思われる。
 なにせ、当時のURBANは直近の運転資金確保すら怪しまれていたからねぇ。CBでの資金調達ができる上に、払込資金の前借り(?)さえもできるとなれば二重の好材料と受け止められていた可能性は小さくないと考えてしまう次第である。


 今回、BNPパリバとURBANの間で交わされたスワップ契約は極めて複雑な代物であった。しかも、その契約内容は締結後数回にわたって変更が行われていた。
 普通の融資や金利スワップなどの場合と異なり、今回のような複雑な契約に関する記載ルールを定めるのは大変だとは思う。が、投資家などの誤認を防ぐための予防として、ガイドライン策定をぜひやってもらいたいところである。
 
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2008年08月25日

アーバンコーポレイション(8868)とBNPパリバ間のファイナンス (3)URBANがスワップ契約を結んだ動機に関する考察および今後の対策に関する主張

 前回は、アーバンコーポレイション(8868、以下URBAN)がBNPパリバと結んでいたスワップ契約により、URBAN側に損失が発生した仕組みについて述べた。
 今回は、URBAN側がなぜこのようなスワップ契約を結んだのか、その背景について考察を試みた。
 その結果、
・URBANの資金繰りが6月頃には既に極めて厳しくなっており、7月11日のCB発行以前に資金が必要だったのではないか?
・CB発行+スワップ契約という手法を採用したのはいわゆる「MSCB規制」を逃れるためではないか?
という2点の推測を得た。

 以下では、スワップ契約を通じてURBANがどのタイミングで現金を得たか推定することを通じ、URBANが今回スワップ契約を結んだ理由について考察を行う。
 その後、今回のようなファイナンスを抑制する対策に関する主張を行い、一連の記事の結びとする。

〜「MSCB規制」の抜け道 考察〜


 URBANがなぜスワップ契約を結んだか考えるためには、URBANが同程度の資金調達を行う場合に取り得た手法であるMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権、MSSO)との比較を行うのが有効であると考える。
 今回のスワップ契約の一株あたり支払額の決め方は、VWAP×90%という、MSワラントに非常に良く似た仕組みを持っていた。
 また、MSワラントの場合、現金の支払いが(MSCBとは異なり)予約権行使時、すなわち後払いでよい。この点は、今回のスワップ契約とよく似ており、少なくともBNPパリバ側にとっては問題がなかったはずである。
 となると、今回の資金調達、スワップ契約などと言う回りくどい仕組みを使わずに、MSワラントを使えば事足りるのではないかと思えてくる。
 が、両者を比較してみたところ、URBAN側の現金受取の速さ(時期)という、URBAN的にはある意味現金受取額よりも重要といえるかもしれない点で大きな差がでてくる可能性が極めて高いことが判明した。
 以下では、この点について説明を行う。
 
 まず、図1に今回のスワップ契約でURBAN側が受け取った現金、出してしまった赤字、そして、スワップ契約が履行されずに残存している部分のそれぞれについて、ここまでわかっている情報から管理人が推定した値をまとめ、図示する。
 なお、URBANが獲得したという90億円の中には、年2回、想定元本の2.5%相当の資金を支払う契約(『変動支払(2)』)の分が含まれている可能性があるが、この点については本ファイナンスの結末および当HP的には重要ではないので無視した。

『スワップ1・2合わせて6日分の支払』
図1 スワップ契約におけるURBAN側受け取り資金・赤字・未履行分の管理人推定値


 図1より、まず、CB発行前に既に20億円弱の現金を受け取っていることが確認できる。しかも、その現金の全てを6月下旬頃にURBANが手にできたことがURBAN株の売買状況から推測できる。この資金は、6月の時点ですでに大変なことになっていたであろうURBANの資金繰りを、ほんのわずかではあるが和らげたのではないだろうか。
 対して、MSワラントの発行を行った場合、当然のことながら、発行当日(7月11日)までは資金は一切受け取れない。
 この差は投資家からすれば大したことないように感じるが、URBAN的には大きい意味を持っていたのかもしれない。

 次に、スワップ(2)によりURBANに資金が支払われたのがわずか3日間(前回記事参照)だったのにも関わらず、スワップ契約全体の40%強が行使されている点に注目したい。
 仮に、株価が下限株価を上回って推移するか、URBAN側がスワップ契約の進展と現金獲得を優先し、下限株価条項を設けなかった場合、スワップ契約は7月下旬には最大株数まで履行され、事実上終了していた可能性が極めて高い。この点においては、URBANがプレスリリースで発表した『BNPパリバからの支払は1ヶ月程度ですべて行われると想定』という部分は間違っていないのである。もっとも、皆様ご承知の通り、URBANの株価が下落し、下限株価を下回ったせいでその目論見は外れたわけだが。
 対して、MSCBやMSワラントの場合は、売買高が増えたからといって一気に予約権行使は出来ない規制が存在している。昨年7月?発行分より適用されるようになった、いわゆる「MSCB規制」である(参考リンク)。
 本規制においては、MSCB等の予約権行使は、一部の場合を除き、一歴月(7月、8月など)あたり発行済株式総数の10%までと定められている。CB発行発表時点のURBANの発行済株式総数は2億2,700万株であったから、一歴月当たりの予約権行使可能数は最大2,270万株だったことになる。つまり、今回のCB発行規模と同じ8,720株分のMSワラントの発行で資金調達を行おうとした場合、全額(300億円とは限らない)の払込までには最低でも約4ヶ月、10月頃までかかることになる。
 この点を図に示してみると図2のようになる。なお、本図では、各月の平均行使価額を200円と仮定しURBANが受け取る各月の金額を計算した。

MSワラントの行使価額が安くなっても赤字は出ない
図2 MSワラントを発行した場合のURBAN側受け取り金額


 図1と図2を比較するとわかるように、スワップ契約により資金調達を行った場合は、スワップ契約がうまくいかなかった現実の結末ですら、MSワラントによる資金調達を行った場合よりも早く現金を得ていることがわかる。
 また、先程も述べたように、仮に株価が下限株価を下回らなかった、もしくは下限株価を設定しなかった場合は、7月中にスワップ契約の最大株式数に達し、URBANはスワップ契約から得られる現金全てを得ていたはずである。
 従って、資金繰りが非常に厳しい状況となっていたアーバンとしては、MSワラントを発行し、10月まで待つような悠長なことはできず、かわりに(赤字が出ることは半ば承知の上・・・だよねぇ?)CBの発行とスワップ契約の組み合わせ、という手法を選んだのではないかと考える次第である。
 つまり、本ファイナンスは、一面では「MSCB規制」をすり抜けて資金(資本)調達を行うために考案・実行されたという見方ができてしまうのである。

 URBANの資金繰りがどのくらい厳しかったのかは現時点で知ることはできないが、「明日の千円よりも、今日の百円」といった心境だったのではないかと思われる。

〜開示ルールの整備を 主張〜


 本ファイナンスで問題視されていることの一つに、CBの払込資金として一度BNPパリバからURBANに払い込まれた300億円が、スワップ契約に従いそのままBNPパリバに戻されていたことが挙げられる。

 この点、実は、一度払い込まれた資金がそのまま引き受け手に戻された前例が2年前に存在しているのである。
 06年2月、東証マザーズ上場のアイディーユー(8922)はUBS割り当てで250億円のMSCBを発行したが、払い込まれた250億円をそのままUBSへ定期預金として預け入れてしまった事例である(当ブログの考察記事)。
 本MSCBの発行発表がライブドア・ショックの直後だったというタイミングの問題もあり、当時はそれなりに話題となったが、MSCB発行発表のプレスリリースに定期預金として預け入れる話についても掲載していたため、それ以上の騒ぎとなることはなかった。

 今回の事例において、仮に、スワップ契約の存在をCB発行発表と同時に行っていた場合どのような展開があったかは不明であるが、(表面だけ見れば好材料の)CB発行発表後も株価が下落基調をたどり続けたことを考えると、実はそれほど株価動向に差はなかったかもしれない。もちろん、BNPパリバ的には困ったかもしれないが。
 BNPパリバとURBANの間で結ばれたスワップ契約は、大まかに言えば、資金の受け取り時期および金額がCBからMSワラントのそれに変更される契約であるといえ、一般的な金利スワップなどとは明らかに異なるものであると言える。
 今回、アーバンがスワップ契約を開示しなかったことは問題であると思うが、今更とやかく言っても仕方ない。が、自分としては、今後、同種のスワップ契約は開示されるように、東証、もしくは日証協などでルールを作るべきであると主張する。
 具体的な方法は何とも言えないが、個人的には、MSCB等のファイナンス時に、引き受け手への貸株の有無をプレスリリースに記載しているのに倣えばよいのではないかと主張する。すなわち、当該ファイナンス発表のプレスリリースに、発行企業とファイナンスの引き受け手や引き受け手と関係する会社・ファンド・個人などとの間に結ばれた、もしくは結ぶ予定のスワップ契約等を掲載するのが妥当ではないかと考える次第である。
 もちろん、これでも効果的な対策とは言えないが・・・幾分はましになるのではないかと期待したい。いやほんとに。


 以上、本記事では3回にわたりURBANとBNPパリバの間で行われた一連のファイナンスに関する考察並びに主張を行った。
 URBANにとっては急ぎ資金調達を行いたいという事情があったとはいえ、これだけの巨額損失のリスクを冒してまで行う必要、もしくは覚悟があったのかは正直信じがたいところであり、なんか裏がありそうに思えてしまうところである。
 仮に、今回の一連のおはなしに裏があるとすれば、是非その点は明らかにしてもらいたいところである。実態を明らかにすることが、今後も起きる可能性が否定できない同種事例に対するなによりの抑止力になるはずである。
 
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2008年08月18日

アーバンコーポレイション(8868)とBNPパリバ間のファイナンス (2)URBAN側損失発生の仕組みに関する考察

 前回は、アーバンコーポレイション(8868、以下URBAN)が民事再生法申請と同時に発表したスワップ契約の概要について述べ、URBAN側が受け取れる金額が株価動向により増減することを示した。

 今回は、URBANはスワップ契約を結んだことにより、58億円もの損失をなぜ出してしまったのか考察を試みた。
 その結果、
・民事再生法申請と同時にURBANが発表した『58億円の営業外損失』は7月18日までにはスワップ契約の含み損の形で発生していたのではないか?
・仮に会社側の言うとおりBNPパリバからの支払いが順調に進んでいたとしても、スワップ契約を結んだ時期の株価水準が続いた場合、CB発行額の300億円を受け取れる可能性は小さかったのではないか?
・仮にBNPパリバからの支払いが順調に進んでいた場合、スワップ契約でURBANが被る赤字はさらに増えていた可能性が極めて高いのではないか?
という3点の推測を得た。

 以下では、スワップ契約の遂行に伴い、URBANの損失がどのようにして発生したか考察を進めてみることにする。

〜想定元本減少は344円×株数 考察〜


 本ファイナンスにおいて、CB発行日の7月11日にBNPパリバから300億円がURBAN側に振り込まれた。それに対して、同日、URBANは同日、スワップ契約に従い同額をBNPパリバに払い込んだ。

 自分は、URBANはこの時点で既にスワップ契約で損失を抱えていたと考える。
 スワップ1は、BNPパリバがVWAP×90%×対象株式数(累計650万株以内)で算出される金額を(株価が300円以上をつけた日限定で)日々支払う一方で、URBANは最終日(7月11日・・・CB払込日)に344円×対象株式数で算出される金額を(300億円の一部という形で)一括支払いをすることになっていた。
 前回この点を説明した際に用いた図を図1として再掲する。

URBANは先払いしてもらえる
図1 スワップ1の概要(再掲)


 すなわち、URBAN側から見れば、VWAP×90%で求められる金額(一株あたり支払額)が344円以上にならなければスワップ契約で損失が発生することになる。
 そして、スワップ契約発効後は株価が低迷したため、一株あたり支払額は275〜290円程度であったと推測している。つまり、一株あたり55〜70円程度の損失が発生したことになる。
 ここら辺を図に示してみると図2のような感じになる。

損失率十数%
図2 スワップ1で発生したURBAN側損失の概要

 んで、スワップ1の上限株数は650万株とされているから、仮に上限株数までスワップ契約が履行されていた場合、
55〜70円 × 650万株 ≒ 3.5〜4.5億円
くらいの損失が出た計算になる。
 しかし、これでは発表された損失額58億円にはとても足りない。ということで、スワップ2の方も見てみることにする。

 スワップ2では、最初にURBAN側が300億円からスワップ1で支払った分(20億円強?)を差し引いた額、約280億円弱を支払い、『想定元本』としていた。これはURBANがBNPパリバに預けた資産と見なして良いと思う。こう、URBANがBNPパリバに280億円を預けたという認識で。
 んで、契約期間中は、BNPパリバがVWAP×90%×対象株式数で算出される金額を(株価が下限株価以上をつけた日限定で)日々支払う一方で、想定元本は344円×対象株式数だけ減少することになっていた。つまり、BNPパリバからURBANに支払われる現金の金額と、URBANがBNPパリバにお金を預けた口座の残高減少額が違っていたわけである。
 この差額は、そのままURBANの資産の増減につながるわけだから、利益・損失として計上されるべきものであろうし、実際に営業外損失として計上され発表されてしまったわけである。
 スワップ2が適用されていた期間中はVWAPが200円台前半で推移したことから、BNPパリバが支払った一株あたりの平均金額は185〜215円程度のどこかであったと推測している。
 従って、一株あたり344円とされているCB転換価額(=一株あたりの想定元本減少額)との差額である百数十円×対象株式数(3,000万株以上ではないかと推測)がURBAN側の損失となったわけである。
 ここら辺を図2と同様に図示してみると、図3のような感じになると考える。

この損失がそのままパリバの利益になっているわけでもなさそう
図3 スワップ2で発生したURBAN側損失の概要


 対象株式数がどの程度になったかはっきりしないため、損失額がどの程度かは推定に頼る部分が大きいが、少なくとも30億円以上なのはほぼ確実だろうし、おそらくは58億円のうちの8割以上を占めていると考えている。
 一株あたり損失額、対象株式数の双方がスワップ1よりもはるかに大きかったため、損失額が大きくなったと言える。

 ちなみに、本スワップ契約でURBANが利益を出すためには、スワップ1・2いずれにおいてもVWAPが平均382.3円以上をつけている必要があったようである。
 スワップ1の締結時期はともかく、スワップ2の締結時の株価水準ではVWAPがこの水準を達成するのは極めて困難と想像できたと思うのだがねぇ・・・。


 ・・・以上より、スワップ1で数億円、スワップ2で数十億円の損失が発生し、その合計が約58億円だったというのが実態ではないかと自分は考えてみた次第である。
 そして、その損失のほぼ全てが、含み損という形で7月18日までに発生していたのは確実と思われる。何せ、7月19日以降は株価低迷でスワップ契約は株価低迷で一切履行されていなかったはずだからねぇ・・・開示資料が正しい&事実の全てならばだけど(←ちょっと怪しんでいる人)。
 結局のところ、URBANが民事再生法申請と同時に『58億円の営業外損失が発生』と発表したのは、民事再生法申請によりURBAN・BNPパリバ間に結ばれたスワップ契約が終了したため、それまで含み損だった損失がついに確定損失になってしまったため発表した、というのが実態であるとするのが現時点においては妥当ではないかと考えるところである。


 ところで、16日付日経朝刊12面に掲載された本ファイナンスに関する記事には、『(スワップ契約で)URBANが受け取ったのは90億円にとどまっていた』という記述がある。
 これが事実ならば、今回URBANが発表した損失額が58億円であることと併せて考えると、単純計算で、300-(90+58)=152億円分の想定元本がまだ残っていることになる。つまり、まだスワップ契約は半分程度しか消化されていなかったことになる。
 仮に、13日にURBANが倒産することなく株価が大幅反発し、本スワップ契約の履行が再開されたとすると、当然ながら取引の多くは下限株価(250円?)周辺での取引となり、再開後の一株あたりのURBAN側受取額は平均300円を切る水準となっていたに違いない。
 となると、仮にスワップ契約の履行が再開されていた場合、スワップ契約に絡む赤字額はさらに増加していた可能性が極めて高い。
 いかにURBAN株が急騰したとしても、380円台まで上昇するためには相当の出来高をこなさなければいけなかっただろうからねぇ・・・まあ、そんなこと考えても今更仕方ないが。


 以上、今回はスワップ契約に関してURBAN側に損失が発生した仕組みについて考察を行った。
 次回は、このようなファイナンスをなぜURBAN側は受けたのか、その思惑について考察を行った後に、本ファイナンスが日証協などが定めるMSCB規制を無力化する代物であることに関して主張を行う予定である。
 
posted by こみけ at 00:19| Comment(6) | TrackBack(1) | 銘柄ネタ(MSCB除く) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月17日

アーバンコーポレイション(8868)とBNPパリバ間のファイナンス(1) スワップ取引の概要

 13日、アーバンコーポレイション(以下URBAN、8868)は民事再生法の適用を申請、事実上倒産した。
 今回の倒産劇において特に問題視されているのが、6月26日にURBANがBNPパリバ引き受けで発行した300億円のCB(MSCBに非ず)に関するスワップ取引が行われており、しかもそのことをURBANが開示していなかった点である(プレスリリース)。
 特に、CB発行でURBANに払い込まれたはずの現金300億円が、ほぼ全額BNPパリバ側に預け込まれていたことが倒産まで明らかにならなかったのは重大な点である。結局、CB発行が資金繰りに想像ほど寄与していなかったことが倒産後に明らかになったわけであるからねぇ。

 本記事では、複数回にわたり、URBANとBNPパリバの間で行われた一連のファイナンスに対する考察を無謀にも試みてみることとする。
 なお、管理人は金融については素人ですので記事中に間違いがあるかも知れないので、その点はご容赦ください&実際に間違いがあった場合はご指摘いただければ幸いです。


 まず、第1回ではURBANとBNPパリバ間に結ばれたスワップ取引に関する考察を試みた。
 その結果、
・本スワップ取引の資金支払方法に株数固定型のMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権、MSSO)との類似点を見出すことができる
という認識を得た。

 以下では、本スワップ取引におけるBNPパリバからURBANへの支払額決定方法について整理し、説明した後に、MSワラントと本スワップ取引の似通った点につっこみを入れてみることとする。

〜株価一定以上なら現金支払い 概要〜


 本スワップ取引は、基本的にはURBANが300億円を『想定元本』として一括してBNPパリバに払い込み、その代わりに、BNPパリバはURBANに毎日のVWAP(≒株価)と出来高を基準にして毎日資金をURBAN側に支払う、という契約だった。そして、その支払いと同時に想定元本(URBANが預けている300億円)が減っていくものであったようである。

 んで、URBAN側が毎日受け取る資金額は、以下のような要素から求められる。
 まず、『下限株価』は、株価が一定以下の水準を下回った場合は本スワップ取引で色々計算したりする対象からは除外するという基準である。あまり低い株価で資金の受け取りを行った場合、URBANが受け取れる金額がURBAN的に我慢できないくらい低くなってしまうことを警戒したものだとも考えられるし、市場への売り圧力を避けたいという意図もあったのではないかとも考えられる。
 次に、『VWAP』は、下限株価以上で行われた取引のみから算出されたものとされている。従って、その日の本当の(全取引から算出された)VWAPよりも高くなることもある。
 『取引株数』は、その日の出来高のうち下限株価以上で行われたのみの売買株式数のことと定められている。つまり、ある日の株価が下限株価を下回った場合、取引株数はその日の売買株式数よりも少なくなることになる。
 そして、『ヘッジ比率』はこの対象株数(≒出来高)に掛けられる比率で、今回は全期間を通じて6〜18%の範囲で適用されていたと思われる。この比率が何を根拠に決定されたかは発表されていないが、個人的には、「株価が相応に下がることを承知の上で空売りできるぎりぎりの比率(株数)かな〜」という印象を受けた・・・それ以上だとストップ安を引き起こしかねないかと。
 最後に、『対象株数』が取引株数にヘッジ比率を掛けて算出される。
 んで、これらを元にして、『支払金額』が、対象株数×VWAP×90%であると定められている。この金額が、日々URBAN側へと支払われることになっていた。

 ここからは、各スワップの概要について述べてみる。
 まず、スワップ1の概要について図1に示す。

swap_8868_1_1.jpg
図1 スワップ1の概要


 スワップ1の契約期間は6月27日から7月11日までと定められている。
また、下限株価は300円と定められている。
 本契約期間において、株価が一瞬でも300円以上をつけた日は、6月27・30日、7月1日の3日間のみである。従って、それ以外の日はURBAN側への金銭支払いはなかったと言える。しかしながら、URBAN株の出来高は27日だけで6,000万株近くに達している上、30・1日も3,000万株以上の大商いであった。従って、この3日間だけでスワップ1の最大株式数である650万株分の支払いが全て行われた可能性もある。
 なお、この3日間のVWAPや歩み値が手元にないので大ざっぱな計算になるが、この間のURBANへの一株あたり平均支払額は275〜290円前後だったのではないかと推定している。
 そして、終了日である7月11日には、URBANからBNPパリバへの資金支払いが行われた。その金額は、CB転換価額(344円)×(3日間の対象株式数の合計である)累積株式数であったはずである。

 次に、スワップ2の概要について図2に示す。

swap_8868_2_1.jpg
図2 スワップ2の概要


 本スワップ取引の契約期間は7月11日から2010年7月12日と当初定められていたが、民事再生法申請を行った8月13日の時点で終了してしまったらしい。
 また、下限株価は、何回か変更が行われた結果、7月11・14・18〜25日は175円、それ以外は250円と定められた。
 本契約期間において、株価が一瞬でもこれら下限株価を上回ったのは7月11・14・18日の3営業日、いずれも下限株価が175円だった日である。
 常に下限株価を上回った状態で取引が行われた11・14日の出来高が合計で約2億4,300万株、下限価格をはさんだ状態の取引となった18日の出来高が約6,500万株であったから。従って、ヘッジ比率を考慮すると、少なくとも2,500万株分、おそらくは3,000万株分以上の資金支払いがBNPパリバからURBANへと行われたと見なして良さそうである。なお、一株あたりのURBANへの平均支払額は185〜220円のどこかでないかと推測している。
 なお、URBANからBNPパリバへの資金支払いは、契約期間初日(開始日)である7月11日に行われ、300億円からスワップ1で支払われた金額金額を引いた額の支払いが行われたはずである。要するに、7月11日にスワップ1及び2合計で300億円がURBANからBNPパリバへ支払われたということになる。
 そして、URBANへの資金支払いが行われるたびに、想定元本額は減少していった。その減少額は、CB転換価額(344円)×対象株式数であったはずである。この想定元本額の減少については、次回考察してみる予定である。


 さて、自分が本スワップ取引について特に気になったのが、URBANへの資金支払い条件である。
 一株あたりの支払額がVWAP×90%というのは、MSワラントの行使価額修正条項では良くある条件だな〜と印象に残ってしまった。
 また、取引株数×十数%という対象株数も、空売りして売り崩すにはちょうどいい規模ではないかな〜とか思ってしまったのである。
 従って、ある意味、今回のファイナンスでURBANが得られる現金収入のパターンはMSワラント発行時の場合とよく似ているように感じるのである。
 こう、現渡し用の株券をMSワラント行使で確保し、会社側は代わりに現金の払い込みを受けるような状況そっくりなのではないかと。これでは、資金繰りの改善はそれほど期待できないのは間違いないところである。
 一方、BNPパリバの視点からすればMSワラント(もしくはMSCB)とは異なり、空売りした株券をどうにかして調達しなければならない点が異なる・・・今回BNPパリバが引き受けたのはあくまでCBだし・・・。
 もっとも、その辺の絡みでURBANが損失を出すことになったと言えそうなのであるが。


 今回は、本スワップ取引の概要について述べ、資金支払方法のMSワラントとの類似性について述べた。
 次回は、本ファイナンスを通じ、URBANがどのようにして『58億円の営業外損失』を被ったのか、考察を試みる予定である。
 
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2006年11月18日

アーティストハウスホールディングス(3716)の第三者割当増資

 15日、アーティストハウスホールディングス(3716、以下アーティストハウス)は総額約12億円の第三者割当増資を発表した。プレスリリースはこちら

 この第三者割当増資で面白いのは、引き受け手であり、引き受け後はアーティストハウスの筆頭株主になる予定である、イーストアジア・コンテンツファンドの本店住所が、なぜかマンスリーマンションの住所と同一であるという点である。資本金の欄が「−」とだけ表記されているのも気になるが、住所がマンスリーマンションという圧倒的事実の前ではかすんでしまう。
 しかも、このマンスリーマンション運営企業の注意書きによると、マンションには固定電話も付属していないらしいし、新たに敷設することも原則できないようである。となると、ここまで今年一番のおもしろIRと呼んでも過言ではないと自信を持ってお勧めする、「電話にも出ない」以前の問題であると言える。携帯電話で連絡を取り合うのかねぇ。


 ただ一方で、もうちょっと広く考えてみると、意外と笑って済まされない問題である。
 今回は、本店住所がたまたまネット上でも検索可能なマンスリーマンションだったがゆえに皆気づいたわけだが、おそらくは一般には知られない形で、似たような増資引き受けが他銘柄でも行われていると考えるのが自然であろう・・・全銘柄見渡してもただ一度の増資にしか名前が現れないファンドとか、特に。
 この辺はどうやって調べればよいのか、難しいところである。究極的には登記簿を取得し、調べるしかないのだろうかねぇ。

 さらに、当面はいざ知らず、1〜3年後にくるかもしれない次の新興市場ブームの際には、登記簿を取得したとしても見抜くことが難しい手法すら現れるかもしれない。
 例えば、丸の内AIGビルにはレンタルオフィスがあるのは比較的知られた話であるが、この件についても、レンタルオフィスの会社がインターネット上で宣伝活動を行っているが故に知られているのである。
 仮に、インターネット等で宣伝を行わないような業界内部?のみで知られるようなレンタルオフィスが現れたりすると、住所からまともか否か判定することは著しく困難と言うことになる・・・と言うか、知らないだけで既に国内のどこかに存在しているのやもしれない、いや、多分あるんだろうねぇ。

 結局、最終的には、増資の引き受け手がどんなところか探るよりは、発行企業の日頃の振る舞いがどうかという点に着目した方が良いと言うことになりそうである。
 まあ、盛り上がっている最中に影の方に目を向けるのは難しいことだがねぇ。
 
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2006年10月22日

米ダルトン、サンテレホン(8083)株のTOBを宣言する

 19日、米ファンドのダルトン・インベストメンツ・グループはサンテレホン(8083)株の公開買付(TOB)を行うことを宣言した。これを受けてのサンテレホン側のプレスリリースはこちら。また、その翌日出したTOBに反対する声明文はこちら

 公開買付者はジェイエムビーオー・ファンド・リミテッド(JMBO)である。その一方、本TOBに関する問い合わせ先が米ダルトンであるなど、両社が連携を取っていると見なせる面があり、サンテレホンや日経(日経記事のリンク)は本TOBを行うのは事実上ダルトンであると見なしているようである。
 EDINETに掲載されている公開買付届出書で確認すると、本TOBにおいては、ダルトンはJMBOの特別関係者ということになっているから、確かに一体と見なしても構わないと思われる。
 以下、本記事ではJMBOとダルトンの両社をまとめて「ダルトングループ」と記載する。


 さて、今回JMBOが公開買付を行うのは、発行済み株式数の約8%、約280万株である。これに、JMBOが既に保有している株式約492万株およびダルトンが保有している株式約486万株をあわせると、TOBが成功した場合のダルトングループの保有株式数は約1260万株、発行済み株式数の約36%となり、ダルトングループは拒否権を握ることができる。また、サンテレホンは自社株の形で338万株を保有しており、これを発行済み株式数から差し引いた議決権ベースでは、ダルトングループの保有比率は40%を上回る。
 なお、自社株に関しては、本年6月に、サンテレホンは新株予約権の発行を発表、その新株予約権の行使の際に(新株発行ではなく)自社株を交付するという方法で処分しようとし、それをJMBOが申し立てた仮処分申請により阻止されたことがある(仮処分に関する当ブログの記事)。この新株予約権を発行した時点で、既にダルトングループはサンテレホンの大株主になっていたが、それをサンテレホンの経営陣は疎ましく思っていた可能性は極めて高い。その対策として、新株予約権の発行を通じて、自社株をどこか友好的な企業に保有してもらおうとしていたのだろう。となると、この新株予約権の発行が差し止められた段階で、サンテレホン側にはこれ以上自社で何とかする手だてがなくなってしまったのかもしれない。

 一方、ダルトングループがTOBを行う目的であるが、現在のサンテレホン株の流動性ではとても保有株を売り切ることなどできないので、仕方ないからMBOを行わせて、自分の株を全部経営陣に買い取らせてやろう、という作戦である可能性は考えられる(あくまで個人的考えです)。
 直近のサンテレホン株の売買高は、1日3万株未満のことが多いようだから、株価への影響を抑えつつ市場売却することはまず無理だろうからねぇ。んで、MBOの要求を通すためにはもうちょっと株数があった方が有利、という話になるのではないかと。
 ・・・ここまで書いて気になったのだが、「JMBO」の「MBO」って、このMBO(経営陣等による買収)を意味しているのかねぇ・・・こう、「(日本の=J)MBOに特化したファンド」とかそういう意味合いがこのJMBOという名前に込められているのではないかと思えたりしてくるのである。
 会社側は一貫してMBOに反対しているのだから、仮に、あくまでも仮に、JMBOが当初から「買い集めた株は会社経営陣にMBOを行わせ最終的に売り抜ける」という作戦を立てた上で、これまでの株の買い集めや今回のTOBをやっているのだとしたら、ダルトンやJMBOに少なくとも良い印象は持てないところである。

 さて、仮に今回のTOBが成功した場合、サンテレホンはダルトングループに拒否権を握られるわけだから、ダルトングループの意向を無視した形での経営は極めて困難になると思われる。また、これから第三者割当増資等を行いダルトングループ持分の希薄化をもくろんだとしても、当然ダルトングループ側が新株予約権の時と同様に増資差し止めに関する仮処分等の法的措置を取る可能性が極めて高く、サンテレホン単独で実行可能な対抗手段はあまりないと思われる。

 サンテレホンがこの窮地を脱する可能性としては、ダルトンに対抗して、より高い買付価格でのTOBを仕掛けてくれる支援者(ホワイト・ナイト)が現れるような状況が一つ考えられる。この支援者がどこなのか自分は想像できないが、一つの可能性としては、本年6月の(差し止められた)新株予約権の引き受け手になるはずだった三菱UFJ証券がサンテレホンに味方し、色々手助けすることは考えられる(あくまで個人的な考えです)。
 まあ、仮に助けてくれるところが現れたとして、対抗TOBをかけた苦労?に見合うリターンをその支援者が得られるかどうかは何とも言えないがねぇ。
 もう一つあるとすれば、会社側が増配等の株主還元策を行い、株価がTOB価格以上に高騰する場合である。だが、残された時間があまりない状況下で、果たして会社側が思い切った手を打てるかどうか。

 ・・・とここまで考えてきたが、本TOBの動向が日経平均や新興市場の地合いに何らかの影響を及ぼすことは考えづらいし、その成否がお茶の間を騒がせたりすることはより一層考えづらいので、まあ当面は生暖かい目で見守れば良いように思える次第である。
 まずはサンテレホン側に支援者が現れるか否か、注目である。現れるとすれば、ダルトングループのTOBが終了する前だと思うが・・・。
 
posted by こみけ at 20:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 銘柄ネタ(MSCB除く) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月07日

アドテックス、証券取引法違反の疑いで家宅捜索を受ける

 6日までに、警視庁は本年5月にヘラクレスを上場廃止となったアドテックス(旧6739)を証券取引法違反の疑いで家宅捜索した。記事はこちら
 また、本日付日経朝刊の社会面、もしくは日経テレコンの社会関連記事でより詳しい内容が読めるのでご参照下され。

 本記事の内容からすると、今回の捜査は長谷川前社長らの時代における粉飾に関する捜査らしく、期間で言うと03年12月期以前が問題視されているようである。もちろん、それ以降についても捜査の進展次第では問題が見つかるかも知れない・・・粉飾規模は数十億円と言うから、現経営陣が少なくとも知らないはずはないと思うところである。
 まあ、こちらの方については警察(検察ではない上、組織犯罪対策三課なる部署が捜査を行っている点にちょっとドキドキ)の今後の捜査に注目したいところである。

 さて、日経朝刊の記事においては、売り上げの水増し等を行ったのは『二〇〇三年十二月期までの数期』であったと記載されている。自分としては、この『数期』と言うところが実際のところはいつからなのかに注目している。
 記事中にもあるとおり、アドテックスは、01年12月に大証ヘラクレスに上場した。んで、この01年12月というのは、03年12月期(の期末)からわずか2年前のことであり、また、上場審査において、貸借対照表などが上場審査に用いられ、重視されたであろう、00年12月期も高々3期前のことなのである。
 従って、実はアドテックスは上場審査を受けている最中にも粉飾を行っていたのではないか、との推測も、記事の読み方次第では可能なのである・・・まあ、本当にやっていたかどうかはそのうちはっきりするはずだがねぇ。

 ライブドアの一件もあり、以前に比べ現在は上場時の審査体制が強化されているのは間違いない・・・と信じたい。
 今回の一件が個人投資家の新興市場不信を著しく増大させることはないとは思う。一方で、ヘラクレスをはじめとする証券取引所には、反省材料、もしくは教訓として今後に生かして欲しいものである。

(10/7 記事題名及び冒頭の文章について「証券取引法違反容疑」と記していたのを「証券取引法違反の疑い」に修正しました)
posted by こみけ at 16:56| Comment(16) | TrackBack(0) | 銘柄ネタ(MSCB除く) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月08日

アイ・シー・エフ(4797)、定款の一部変更を発表

 7日、アイ・シー・エフ(4797)は8月4日開催予定の臨時株主総会に定款の一部変更を議案として提案することを発表した。プレスリリースはこちら

 本件は6月29日に開催された定時株主総会で定足数不足で審議ができなかった議案を概ね踏襲したものである。さりげなく発行可能株式総数(授権枠)を35万株から100万株に拡大したり、社名を「株式会社オーベン」に変更したりと言った条項が追加されているのはご愛嬌。
 しかし、いきなり授権枠約3倍なんて何があったんだろうねぇ。最初は、先月第三者割当増資(プレスリリース)を行ったことで、授権枠の余裕が少なくなった(第三者割当増資完了時点で残り約74,000株まで減少)ことへの対応だと思っていたのだけど、この第三者割当増資の発表日は(定時株主総会で審議できなかった)定款変更発表の翌日なんだよねぇ。となると、具体的な発行株式数や発行価額は別にして、大体の規模は詰めていると思うのだが。
 当初の定款変更案に盛り込み忘れていたなんてことはないだろうけど、ちょいと急すぎる話とは思えるところである。


 さて、自分が一番興味深く感じたのは、第2条の会社目的の部分である。ここは定時株主総会で審議予定だった案からの変更はないようである。
 何が興味深いかというと、とにかく目的がたくさん列挙されている。まあ、持株会社と言うことで、色々な業態の会社を子会社にすることを想定しているのだとは思うが、さすがに157項目というのは多すぎやしないか。
 ていうか、おまいら本当に列挙した業態の会社を買収する気があるのかと・・・まあ、将来の可能性はあると言われればそれまでなのだが。

 個人的に特にツボにはまったのは、以下である・・・と言うことで面白いのを列挙しようかと思ったけど、あまりに多すぎて気力が尽きてしまった。まず目に付くのは、重複する項目があちこちにあることだねぇ。例えば、「11.金銭貸付業務」と「58.金銭の貸付及び債務の保証等の金融業」については、11.は58.に含まれると言えそうだから、削除してもいいように思うんだよねぇ・・・まあ、削除すると面倒が起きるかも知れないのであえて放置しているのかも知れないが。この辺は詳しくないので何とも。
 あとは、芸能プロダクションとか産業用ロボットの製造販売とか、少なくとも現状においてはなかなか参入が考えられない事業が含まれているのも気になるところではある。さらに、「37.各種情報の収集処理並びに販売に関する事業」は具体的には何をやるつもりなんだろう・・・ちょっとわくわくする。四季報みたいなのを想像すればいいのだろうかねぇ。

 一方で、自分としては、不動産や投資信託、資産運用等の項目が充実?している点に注目している。いや、この会社がどうこうというのではなくて、将来自分が投資関連の会社を作る際に、会社目的に使えそうな項目がいっぱいあるな〜と思って。
 例えば、証券投資関係では「61.有価証券等の保有、売買、運用及び投資事業組合・匿名組合等への出資」や「62.投資法人の設立企画人としての業務」、「106.匿名組合財産の運用及び管理」なんかが使えそうかな〜とか妄想してみたり、不動産投資においても、「27.不動産の所有、売買、交換、賃貸借、管理、保守及び仲介」など、いくつか使えそうなものがある。
 この辺、会社設立を行ったことがある人には常識なのかも知れないが、その辺の知識が全くない自分にとっては結構参考になるところである。上場会社の定款なんだから、法的に問題が項目が含まれていると言うことはないだろうからねぇ。

 ・・・なお、自分には会社設立の構想は現時点では全くないことを念のため主張しておく次第である。
 あくまで、将来役に立つかも知れない可能性と言うことで。
 
posted by こみけ at 12:14| Comment(4) | TrackBack(0) | 銘柄ネタ(MSCB除く) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月29日

アルデプロ(8925)の第三者割当増資

 28日、アルデプロ(8925)は約21,000株、金額にして35億円分の第三者割当増資を発表した。プレスリリースはこちら

 発行価額は27日終値からほぼ1割引の164,000円であり、新規発行株式数は2万株強と、発行済株式数66万株と比べると小規模であると言えそうである。
 また、調達資金の使途については『M&A資金及び不動産物件の仕入資金に充当する予定』とあるから、要するに業容拡大に必要な買収資金と運転資金に充てると考えられる・・・漠然としすぎているような気もするが、まあ、おそらくは本業強化に使うのではないかという印象を持っている。
 最近、アルデプロは相次いで地方営業所の開設を発表していたので、これらの地域での営業強化を図るための資金なのかも知れない。

 増資の引き受け手(割当先)については本記事ではつっこみは入れない・・・どういう人々なのか自分にはよくわからないので。
 なお、本増資最大の引き受け手であるDKRのこれまでの動向について興味がある方は、EDINETで「有価証券報告書等の閲覧」→「個人・法人(有報提出義務者以外)」→「ディーケーアール・サウンドショア」と進むと、DKR提出の大量保有報告書をまとめて見ることができるのでご参照下され。
 あと、EDINETに、ここと前後して(「て」の4ページ目最後)名前が出ている「ディーケーアール・オアシス」も関連会社なのかねぇ・・・自分としては、そう考えた方が自然なような気がするねぇ。


 さて、これと言ったつっこみ所は無いように思える本増資であるが、それでも、つっこもうと思えばつっこめるところが2点ほどある。

 まず、プレスリリース1ページ目の1.(10)には、『新株式の継続所有の取り決め』と題して、引き受け手が2年以内に株式譲渡する場合のアルデプロへの報告義務を定めているが、これは要するに「報告してくれれば転売してもかまわない」という意味合いであって、転売そのものを防止する条項ではないと読める。
 ちなみに、引き受け手に継続保有を義務づける場合は、事前に発行企業(今回はアルデプロ)の同意を得ることを転売の条件にすると言った手法がとられるものと思われる(参考:フジテレビ引き受けのライブドアの第三者割当増資)。
 したがって、増資引受先が長期保有を行うかどうかは不明であり、引き受け手のみなさんの動向には注意が必要と考えるところである。まあ、仮に転売が起きたとしても悶絶するような割当株式数でもないと思うが。

 あと、こちらはちょっと勘ぐりすぎのようにも思えるが、プレスリリース2ページの3.(1)に、
『なお、このたびの第三者割当増資により、大株主上位10名の持株比率は平成18年1月31日現在の持株数で計算した場合、70.41%となる見込みであります。これにより、証券市場からさらに幅広い支持をいただける体制が整いつつあると認識しております。』
と言う記載がある。
 今回の増資により大株主の持ち株比率は上昇することになると思われるが、これをもって「証券市場からさらに幅広い支持をいただける」という認識が導かれているのにちょいと困惑する。意地の悪い読み方をすれば、「大株主からの支持だけ受ければそれで十分」という取り方もできるように思えるのだよねぇ。
 まあ、アルデプロは増配などの株主還元策を行っているから、それなりに(個人も含めた)株主を重視しているのも確かではあるが・・・ちょいと気になるところである。


 まあ、本ファイナンスは、第三者割当増資としては悪い(引き受け手にとっては有利な)条件ではないと言えそうである。好条件でないのも確かだが。
 おそらく、当面のアルデプロの株価にとっては、本ファイナンスではなく、新興市場の地合がもっとも大きな懸念材料になると思われる。仮に新興市場の急落局面が起きた場合は、本ファイナンスによる希薄化が(過度に)悪材料視され、株価下落を引き起こす可能性は否定できないところである。

 結局、本ファイナンスは、地合次第で無視も悪材料視もされうるのではないかと考えるところである。
posted by こみけ at 23:42| Comment(15) | TrackBack(0) | 銘柄ネタ(MSCB除く) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月13日

アドテックス(6739)、民事再生法の適用を申請

 本日13日、アドテックス(6739)は民事再生手続きの開始を東京地裁に申し立て、事実上倒産した。プレスリリースはこちら

 まあ、この結末はおおむね予想された結論であり、時間の問題だったと言うことで、さほど驚くことでもない。個人的にはもう少し引っ張ると思っていたが。

 さて、本件で個人的に興味があるのは、

・プレスリリースでは、東京地裁への申し立て時刻が13時となっており、それから15時10分までの間に察知して売り抜けた人がいたのではないか。
・繰上償還ができなかったスイスフランCBを保有していた人々は大損確定な訳だが、果たして保有者はどんな人々なのか。

と言ったところである。まあ、おそらく闇の中だろうけど。


 今後、もっと株価が安くなったら、株券入手のため1〜9株株主になる予定である。2桁まで行くかねぇ?

posted by こみけ at 18:07| Comment(50) | TrackBack(0) | 銘柄ネタ(MSCB除く) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする