2005年10月30日

UBS証券によるインターネット総合研究所(4741)発行のMSCB転売

 28日、インターネット総合研究所(4741)が今年8月に発行したMSCBの繰上償還を発表した。プレスリリースはこちら。繰上償還額は総発行額110億円のうち、未転換分の10億円とのことである。9月末に繰上償還を行うと発表した際は未転換分は約50億円であるという話であったから(記事)、この1ヶ月の間で約40億円ほど転換が進んだことになる。株数にして約3万〜3万5000株と言うところか。今月ここまでの出来高が19万株程度のようだから、需給には厳しそうだねぇ。
 なお、本MSCBの繰上償還日は来月第3金曜日の11月18日であるから、この日までにMSCBがすべて転換されてしまった場合、繰上償還は行われないと言うか、やる必要がないことになる・・・全MSCBが株に換わってしまっているわけだから。
 
 さて、ここからが本日の本題である。110億円発行された本MSCBの引き受け手はUBS証券であった。だが、MSCB発行翌日の8月9日、UBSがスタンフィールド・フィナンシャル・インクへその過半の約60億円分を譲渡したことがEDINETで確認できる。
 スタンフィールドと言えば、昨年12月発行のCB(MSCBに非ず)を引き受けた相手である。その際藤原所長はカストディアン口座というところを介して貸し株を行うことになっていた。んで、このカストディアンがどこに貸し株をしているか調べてみると、8月11日現在で、19,375株をスタンフィールドに貸し出しているのがEDINETで確認できる(8月15日藤原所長提出の変更報告書)。
 ここら辺を図で簡単に示すと下図のような感じになる。
UBSに残った50億も怪しいと思う
図 MSCB・貸し株の流れ

 すなわち、スタンフィールドは藤原所長から貸し株を得る一方で、UBSからMSCBの譲渡を受け、貸し株とMSCBの双方を入手することに成功したことになる。
 この作戦、MSCBを発行翌日に転売したわけだから、事前に少なくとも(←ここ重要)UBSとスタンフィールドの間で話ができあがっていたのは確実である。この代償として、スタンフィールドからUBSに何が支払われたのかは興味深いところであるが、残念ながら現在のところ不明である。
 で、藤原氏から2万株近い貸し株を借りていたスタンフィールドは、それからせっせとMSCBの転換と株式の売却を行っていたのが確認でき、最も多い日で1日904株(10月3日)が売却されている。当日の売買高が17,077株であるから、その日の取引の約5%がスタンフィールドの売りだったことになる。これを多いと見るか、少ないと見るかは何とも言えないところである。
 そして涙を誘うのは、スタンフィールドが一生懸命保有株を処分しているのに、転換価額の下方修正が相次いだため、かえってスタンフィールドの保有株式数(潜在含む)は増加している点である。これぞMSCBの真骨頂。かくして、平成電電の破綻に伴う焦げ付き発生をブースターとしつつ株価は下落していったのである。

 だが、本MSCBの仕組みを見るに、自分は藤原所長に敬意を払わざるを得ない。
 前回のCB発行時の契約を生かして貸し株を融通しつつ「今回のMSCBは、貸し株のないことから実際は、『売り圧力』は発生しない訳ですが」とコラムで語るという離れ業は、まるで前回のCB発行が今回のMSCB発行の前座であるとの妄想さえ抱きかねない偉業である。確かに嘘は言っていない。裏切ったかも知れないが。
 さらに、コミットメントラインの設定を「三井住友銀行の歴史的な判断」と称するあたりには「この人はまた何かするに違いない」との好奇心を自分に抱かせてしまうのである。MSCB償還のためと称して30億円の枠を設定しておきながら、償還すべきMSCBが10億円まで減少し、償還日までに完全になくなってしまうかも知れないあたりも最高である。最初からMSCB償還なんか考えていなかったのでないかとさえ思えるところである。本当に繰上償還をしたいのだったら、10月の第1金曜日(7日)までに宣言すれば今月21日に償還できたので、転換がここまで進行することはなかったはずである。
posted by こみけ at 23:13| Comment(13) | TrackBack(0) | MSCB関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こみけさん、
見事な解析ですね。IRIの不思議さの一旦が見えました。ただ、ひっかかるのが、UBSからスタンフィールドに翌日、MSCBを譲渡している点なんです。せっかくCBを発行してから半年以上待った上で、MSCBを発行しているのに、藤原所長は、1週間とか待てなかったのですかね。おそらくCB発行時は、スタンフィールドはCBとしての価値を信じていた。しかし、このCBを引き受けてみてIRIを精査してみる(お金を貸さないと実際の財務等はみれませんし、逆に金借りちゃうと見せざるを得ない。)となにかがあった。で、8月のスキームをスタンフィールドが求めたとみれませんか?スタンフィールドとしてCBで貸した金は8月から今月まで
  180,000 〜 120,000 / 1株
ですので、平均を150,000円/株とみれば2万株で30億のCB分は回収している。残り15億も減っていない株数で取り返せますね。ポイントは、8/8、8/9、8/10(8/11付けで5%ルール変更ですので、株券を貸したのは前日と判断するのが妥当だと思いますが。)とすごく慌てて処理した(スタンフィールドは明日にでもと判断した。)というのが実際ではないでしょうか。UBSを巻き込んだのもスタンフィールドと思うのですが。
Posted by 胡桃 at 2005年10月31日 00:07
>胡桃 さん
 2万株は貸し株と、その市場売却の話ですね。記事で株数を書いておきながら、ちょっと考え込んでしまいました。
 確かに、CBの転換価額は12万8000円、転換株式数は4万株弱というところですから、スタンフィールドとしては貸し株を売れるだけ売ってしまえば、あとは転換して現渡しするも良し、株価が下がり続ければ買い戻しは市場で行いCBは気長に償還を待つ、ということになりますねぇ。なんせ提携相手なのですから。
 今回の作戦を立てたのがスタンフィールドなのは確実でありましょう。間にUBSを挟むやり方は、貸し株を行うのにカストディアンを挟んだのと同じく、目くらましの意味合いがあったのかもしれません。その報酬として、スタンフィールドからUBSに貸し株の又貸しが行われた可能性も考えられます。
 MSCB譲渡が翌日である件については、何ともいえません。強いて言えば、UBSが不測の事態を恐れて早期に引き渡してしまいたかったことは考えられます。UBS的には、自然な行動だと思いますが。
Posted by こみけ at 2005年10月31日 12:40
>前回のCB発行時の契約を生かして貸し株を融通しつつ「今回のMSCBは、貸し株のないことから実際は、『売り圧力』は発生しない訳ですが」とコラムで語・・・。確かに嘘は言っていない。裏切ったかも知れないが。

 「確かに嘘は言っていない。」部分に関して、こみけさんは、やさしい人ですね。:−)

 米英の基準では、他人に不利益を与える恐れのある場合は、事実の一部のみを述べることも、立派な嘘です。

 映画でもよく、証人は、“the truth、the whole truth、and nothing but the truth”(真実、全真実、そして真実のみ)を述べることを宣誓させられます。

 故に、藤原所長は嘘をついたことになります(米英基準では)。

 日本の法廷では、証人の宣誓はないでしょうか?

 日本っていい国ですねと、つくづく思う次第でございます。


Posted by 碁太郎 at 2005年10月31日 14:01
>碁太郎 さん
 自分はこういうすれすれのところを全力疾走している人を眺めるのが大好きでありまして、本記事を書くに当たりましてもずいぶん気合いが入っておりました。

 自分は日本法ベースの主張をさせていただいているため、今回のMSCB発行に絡む貸し株契約ではなかったということで「嘘ではない」という優しい(笑)観点を取らせていただきました。むろん、その実体には爆笑したのでありますが。
 まあ、ホルダーの皆様的には前回の契約か、今回の契約かなど、どっちでもいいことでしょう。この観点から、「裏切った」という表現をさせていただきました。

 米国ITバブル後の訴訟騒ぎを見るに、確かに米英でこういうことを言ったら、おっしゃるとおりアウトでしょうねぇ。
 ただ、米国で証券会社や経営陣を訴えた皆様にしろ、長い戦いを経てようやく不十分な賠償を得ているわけで、投資で生き残るためにはこういう嘘または裏切りを見抜けるかどうかが鍵であると見ております。
Posted by こみけ at 2005年10月31日 18:13
む〜〜
もはや、何でもアリですね。
藤原所長「おぬしも、悪よの〜」
スタン「な〜にをおっしゃいますやら、お代官様っ」
藤原・スタン・UBS「ふぉっ ふぉっ ふぉっ・・」
で、天井裏には盗み見ている村上氏・・
てな構図ですかね

明日から株価はどうなる???
上がっても、下がっても思う壺???
発行済み株式数で換算すると時価総額は169億円。
今回の150億円、っていったい何?
Posted by yuragi at 2005年10月31日 23:42
>yuragi さん
 村上さんはIRIに関与していますかねぇ?
 仕手筋からすれば、値動きが激しい株を好むはずですから、ちょいと考えにくいところかと。でも、IRIも連想買いされるのは間違いないですねぇ。

 今回のドリームテクノロジーズのファイナンスで気になるのが、50億の第三者割当増資が11月中旬で、100億のCB発行が12月中旬とかなり間が空くことであります。
 ここに何か仕込みがあるような気がするのです。何かはわからないのですが。
Posted by こみけ at 2005年11月01日 00:08
>こみけさん
CB、第3者割当とも詳しくは読んでませんので全くの想像ですが・・
村上氏は後乗り便乗なんじゃないですかね。
ドリテク株価の見事なまでの急落と上昇、
そしてIR発表のタイミング。
全てとは言わないまでも、かなりの部分が演出のように思えます。
でんでん絡みでのゴタゴタが第1幕。
第2幕は村上氏登場で始まったところで
年末までには第3幕がスタートしそうな気がします。
そもそも、今のドリテクは150億も必要なんでしたっけ?
という疑問も残ります。

Posted by yuragi at 2005年11月01日 23:03

>そもそも、今のドリテクは150億も必要なんでしたっけ?

それは、必要かも。

年末にユーロ建てのCBの繰上げ返還が請求可能になります。額は忘れたが。これはほとんど転換されていないし、転換価格からすると、恐らく転換されることがないでしょう。これを工面しないと・・・

あとは、運転資金とか、
無線LANとか・・・まだ続ける予定なら

Posted by 碁太郎 at 2005年11月02日 15:44
>yuragi さん
 自分も、今のドリームテクノロジーズが営業上どうしても150億必要とは思えませんが、上場維持という観点から見ると必要になりそうであります。
 ただでさえ今期債務超過の見込みだった上に平成電電分が焦げ付きとなったわけですから、100億では足りないかも知れません。

>碁太郎 さん
 9月に発行されたMSCBは先月繰上償還されましたが、他にまだCBがあるのですか?

 平成電電の事業を承継しようと言うのでしたら、運転資金は必要ですよね。
 ただ、490億円分の訴訟リスクを背負うわけで、さらなる面倒に巻き込まれるだけのように思うのですよねぇ。負けはないと思いますが。
Posted by こみけ at 2005年11月02日 20:39
>9月に発行されたMSCBは先月繰上償還されましたが、他にまだCBがあるのですか?

はい。MSCB発行の前に、2つのCBを発行したと記憶しております。1つはユーロ建てで、12月あたりから返還請求可能。もう1つは、来年中に返還請求が可能かな。

これらはMSCBではなく、普通(?)のCBです。だから、転換価格はあまり下がらないようです。

Posted by 碁太郎 at 2005年11月03日 00:06
>碁太郎さん こみけさん
そうですか、それだけの資金が必要なんですね。
にしても、この状況で必要資金をあっさりと調達できてしまうとは。
・ドリテクにとんでもらっては困る
・ドリテクで一儲けを企む
・ドリテクを手に入れたい
お金持ちの方々がいるということですかね。殺さず、生かさず?

今日の日経夕刊に平成電電の記事が出てました。たしか「少なくとも3期に渡り監査法人から不適正意見を受けていた」という内容だったかと。
ドリテクはもちろん、知ってて事業を譲受してるはずですよね?
ということは、こういった事態になることを予見できていたはずなのかな。
早く全容が解明されてほしいっす。
ミステリーが過ぎます。
Posted by yuragi at 2005年11月03日 01:35
>碁太郎 さん
 ドリームテクノロジーズの今期中間決算短信を見ると、1年内償還予定の社債が2億円、それ以外の社債が固定負債として8億円計上されていますが、おっしゃっているのはこれのことでしょうか。この表記だと、普通社債(SB)のように思えるのですが・・・

>yuragi さん
 平成電電が期限までに書類を出さなかったので監査法人は意見を表明しなかったというお話ですね。
 確かに、ドリームテクノロジーズやその他の企業が知らないのは妙なのであります。上場企業が複数はめられているわけですから、どこかが破綻前に気づき、裁判を起こしてもいいはずですからねぇ。
 仮に、知っての上で事業譲り受けをやった、という話になれば、また株式市場への不信が広がりますねぇ。
Posted by こみけ at 2005年11月03日 15:52
>こみけさん

 済みません。私の覚え間違いです。確認したところ、ドリームテクノロジーズではなく、アドテックスでした。

 _| ̄|●。
Posted by 碁太郎 at 2005年11月03日 22:28
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。