2005年10月02日

ドリームテクノロジーズ(4840)のMSCBと新株予約権(MSCB編)

 自分は気づいていなかったが、ドリームテクノロジーズ(4840)が9月9日に50億円のMSCB発行を発表した。が、発行日の9月30日になり突如発行額を20億円に減額の上、85000株の新株予約権を発行することを発表した。
 今回は、このMSCBと新株予約権について、2回に分けて考察してみようと思う。今回はMSCBについてである。

〜上方・下方修正条項付 終値を元に転換価額算出 概要〜


 まず、このMSCBの概要を図1−1に示す。当初転換価額は74,800円、上限転換価額は149,600円、下限転換価額は37,400円である。また、転換価額の修正は、「新株予約権の行使請求(MSCBの転換請求)の効力発生日の前日までの3連続取引日」の終値の平均値であるとされていることから、本MSCBは、毎日修正されるタイプのMSCBである。
 例を挙げると、10月7日(金)に転換請求が行われた場合、転換価額は4(火)、5(水)、6(木)の3日間の終値平均値を元に算出されると言うことになる。なお、本MSCBは毎日修正型であることから、毎週修正や毎月修正のMSCBよりも転換価額下方修正のリスクは高いと言えると考える。

90%・100%の別れ目は47200円
図1−1 本MSCBの概要


〜「希薄化抑制型」の意味 考察〜


 さて、このMSCB、当のドリームテクノロジーズは「希薄化抑制型」であると銘打っている。で、どの辺が希薄化抑制型であるかというと、株価が発行日の終値(基準値)を下回っている場合は転換価額は直近3日間の終値平均の90%ではなく100%で修正されることになっている点であるという。発行日である9月30日の終値は47,200円であったから、47,200円以上であれば、転換価額は終値平均の90%、37,400円以上47,200円未満であれば終値平均の100%と言うことになる。

 一例として、10月3日(月)にMSCBの転換請求を行った場合の転換価額は、

(9月28日の終値+29日の終値+30日の終値)÷3
=(41,650+43,200+47,200)÷3=44,017

であるから、終値平均の100%で与えられることになり、

44,017×100%=44,017円

となる。

 本MSCBにおける、株価終値、終値平均と転換価額の関係を図1−2に示す。
 株価が基準値である47,200円付近で動いた場合、転換価額は終値平均の90%で算出される日と100%で算出される日が入れ替わり現れることになる。たとえば、終値平均が47,100円の日には、転換価額は47,100×100%=47,100円であるが、株価が上昇し、47,200円になると、転換価額は47,200×90%=42,480円と、なんと株価が上昇しているのに転換価額は10%近く下がるという不思議な現象が発生するのである。

転換価額が窓開けます
図1−2 終値平均と転換価額の関係

 この場合、1日違うだけで転換価額は4,500円以上上下するという不安定な事態が起こりうる。これが株価変動に直接影響する可能性は小さいと見るが、一株利益・一株純資産などの指標を計算するのは極めて難しくなりそうである。

〜本MSCBの問題点 主張〜


 そもそも、MSCBが問題視される最大の理由は、株価の下落が起きるとMSCB転換により得られる株式数が増大し、既存株主の持ち分が希薄化され、それがさらなる株価の下落を引き起こすという点である。
 それを考えると、わずかな株価変動で転換株式数が大きく変動する本MSCBは重大な欠陥を抱えていると主張する。さらに、一般的なMSCBの場合、株価が上昇すると転換価額の上方修正により希薄化の影響が小さくなると期待されるものであるが、本MSCBでは株価上昇が転換価額の下方修正・希薄化の拡大を引き起こしうることから、株価上昇がかえって株価の下落要因になるという、救いようのない欠点を持っているのである。


 ・・・世の中というのは面白いもので、本MSCBの発行発表後、新興市場の軟調もあり、ドリームテクノロジーズの株価は大きく下落した。その影響もあり、会社側はMSCBの発行額を50億円から20億円に減額し、代わりに新株予約権を発行して資金調達を行うとの発表をなんとMSCBの発行日当日に行った。

 次回は、この新株予約権に関する考察を行う予定である。
posted by こみけ at 20:17| Comment(4) | TrackBack(1) | MSCB関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「希薄化抑制型」? に関する補足

株価が発行日の終値(基準値)を下回っている場合について、MSCB開示に但しつきもついていました。

株価が発行日の終値(基準値)を下回っている場合でも、“会社の判断で90%に修正できる”みたいなことも書いてありました。

恐らく会社は90%でもよいと申し出たが、それでもメリルリンチが嫌がるので、より美味しい新株予約権になったと、勝手に推測しています。

Posted by 碁太郎 at 2005年10月04日 11:25
 碁太郎さん、お久しぶりであります。

 ご指摘いただきました但し書きについては、自分も承知しておりました。
 ただ、実際に基準値以下での90%への修正を申し出たりしたら、既存株主の皆様が猛烈に反発するのは確実ですので、実際に行うことはまず無いと考えておりましたので、記事中では特に説明は行いませんでした。

 一つ興味深いのは、メリルリンチは平成電電がこうなることを知っていたかどうかですね。
 知っていたとすれば、新株予約権は最初から行使しないことを考慮に入れつつ引き受けた可能性が高くなります。
Posted by こみけ at 2005年10月04日 15:29
はじめまして。

トラックバックをいただき、どうもありがとうございました。
私の方からもトラックバックさせていただきました。

金曜引け後のIRを見た時点では、「発行する株式数が多くなりすぎると、ドリテク側もメリル側も、何かと都合が悪い」ために、お互いにメリットがある新株予約権に変更したと考えていたんですよ。

ですが、週明けに寄り付く間もなくこの事件ですからね。正直言ってよくわからない展開です。

メリルもその筋のプロですから、最初の50億円のMSCBの話を受ける前に、平成電電の財務くらいはチェックしてると思うんですが、どうなんでしょうね。

メリルが平成電電のことを直前に知ったというのは、あり得る線でしょうね。MSCBの払込をまったくしないで、週明けに民事再生法では、インサイダーだと言われてしまう^^;

どちらにしても、今後のことはまったくわかりません。どこか名乗りを上げるんですかね...
Posted by spiral_blue at 2005年10月04日 23:11
 spiral_blueさん、トラックバックありがとうございました。

 自分も、IRを土曜に見た段階では平成電電がこのようになるとは全く考えておりませんでした。本記事の次の記事に書きましたとおり、直近の株価下落でMSCBの下限転換価額を下回りかねない状況でしたので、メリルが全額引き受けをいやがり新株予約権になったと考えておりました。
 メリルリンチが親会社の平成電電の財務をチェックしているはずと言う点は同意いたします。非上場会社ですから、あまり深く調べられなかった可能性はありますが・・・

 ドリームテクノロジーズが今後どうなるかは不明ですが、平成電電本体については、ひょっとしたらライブドアが名乗りを上げるかもしれません(妄想の領域ですが)。
 その場合、ドリームテクノロジーズの株価はどうなるのでしょうねぇ。
Posted by こみけ at 2005年10月04日 23:41
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Weblog: 株式投資・日記と雑学
Tracked: 2005-10-04 22:57

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