2013年08月19日

メドレックス(4586)のMSワラント

 16日、マザーズ上場のメドレックス(4586)は約30億円相当のMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権、MSSO)の発行を発表した。プレスリリースはこちら。引受先はメリルリンチである。
 本件は、MSワラントの条件自体はありふれたものであるが、発行前の社長貸株、および本MSワラントの当初行使価額での行使による貸株決済が述べられている点に注目している。
 本記事では、行使価額修正条項の概要について述べた後に、今回の貸株を用いた取引に関する考察を試みる。

〜毎日修正、下限行使価額は60% 概要〜

 図1に本MSワラントの行使価額修正条項の概要を示す。当初行使価額は2,720円と定められており、上限行使価額はないが、下限行使価額は1,632円と定められている。
 また、行使価額は9月5日以降、行使請求の都度直前取引日終値の90%に修正されるから、事実上毎日行使価額の修正が行われ、直近終値を10%ディスカウントした値に修正されると見なせる。
 なお、本MSワラントの行使期間は本年9月4日からであるため、行使期間初日の9月4日だけは当初行使価額が適用されることになる。

msso_4586_1.jpg
図1 本MSワラントの行使価額修正条項の概要


〜発行までの借株分は当初行使価額で行使 考察〜

 さて、本MSワラントの注目点として、引き受け手のメリルリンチが最大で松村社長の保有全株である333,300株を借りるという契約を行ったことが挙げられる。貸株期間に権利日が含まれてはいないものの、一時的には社長の保有株がゼロになる可能性もあるわけで、松村社長はなかなか豪胆であるともいえる。
 そして、株価が当初行使価額を上回っている場合、その貸株を用いてメリルリンチは発行決議日の翌取引日、8月19日から権利行使期間の初日、すなわち9月4日までの間に空売りを行うと言う。その後、空売りした分のMSワラントについて、行使期間初日に行使を行い、決済を行うとしている。この場合、行使期間初日の行使価額は当初行使価額の2,720円であるから、単純計算で空売りを行った株価と2,720円の差額がメリルリンチの利益となる。
 一方で、9月5日以降に行使を行った場合であるが、少なくとも直近株価と行使価額の差(ディスカウント分)である10%については計算しうる利益であると考える。
 上記についてまとめてみた図を図2として掲載する。単純計算でいえば、9月4日までにおいては株価が3,022円を超えてこないうちは利ざやが10%を下回るわけで、9月5日以降のことも考えるのならメリルリンチはむやみに空売りをしない方がよいということになる。まあ、早めに利益確定しておきたいという意図も働くかもしれないがねぇ・・・この辺をどう立ち回るかは個人的に大変興味深い。

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図2 メリルリンチが得られる利ざやの概略図

 なお、行使期間初日に行使した分以外の残りのMSワラントについては、基本的には9月5日以降に順次行使を行っていくことになるが、この期間中に何らかの貸株を行うかどうかについては書かれてはいない。ただ、貸株の動向が株価に影響を与える可能性がある以上、個人投資家の立場ではあると思っていた方が良いと考える次第である。

 本MSワラントは、引き受け手が大株主の社長から株を借りることを発表した上に、行使予定計画の一部まで公表すると言う珍しい事例である。MSワラント発行規模が発行済み株式数の20%弱と比較的大きいことから、実際の行動も大量保有報告で確認できる可能性が大きく、引き受け手のメリルリンチがどのような行動を取るか興味深いところである。

 
posted by こみけ at 02:05| Comment(0) | TrackBack(0) | MSCB関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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