2013年02月17日

カイオム・バイオサイエンス(4583)のMSワラント

 15日、マザーズ上場のカイオム・バイオサイエンス(4583、以下カイオム)は約50億円相当のMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権、MSSO)の発行を発表した。プレスリリースはこちら。引き受け手はマイルストーンである。
 本件の行使価額修正条項等については特に厳しい面は無いものの、昨年からのバイオ株相場の主役と言っても過言ではないカイオムがMSワラントを発行すること自体が注目に値すると考える。
 本記事では、行使価額修正条項等の概要について述べた後に、本MSワラントの位置づけや株価への影響について管理人が思うところを主張してみる。

〜毎週修正、下限行使価額は50% 概要〜
 
 図1に本MSワラントの行使価額修正条項の概要を示す。当初行使価額は11,730円と定められており、上限行使価額は17,595円、下限行使価額は5,865円と定められている。
 また、行使価額の修正は3月11日以降毎週月曜日に行われ、前週のVWAPの92%、すなわち8%ディスカウントした値に定められる。従って、当初行使価額が適用される期間は割当日の3月4日から初回修正前日の3月10日までとなる。

月曜修正は珍しい
図1 本MSワラントの行使価額修正条項概要

 そして、本MSワラントは行使価額の修正が行われても株数は一定のままであるため、行使価額の修正が行われると、予約権行使でカイオムが得られる金額が変化することになる。
 具体的な金額としては、

上限行使価額で全予約権の行使が行われた場合: 17,595×42.6万=74.9億
当初行使価額で全予約権の行使が行われた場合:11,730×42.6万=49.9億
下限行使価額で全予約権の行使が行われた場合:5,865×42.6万=24.9億

となり、全予約権の行使が行われた場合は約25〜75億円をカイオムは得られることになる。
 一方で、株価が下限行使価額を下回る場合はマイルストーンにとっては予約権を行使する意味がないため、調達額がさらに下回る可能性もある。
 また、カイオムはマイルストーンに対し株価が下限行使価額を上回っている日には予約権を毎日1個(1000株分)行使するように指示することができる一方、マイルストーンは自己の判断で好きな時に行使を行うことができる。つまり、カイオムが予約権行使を指示した日にマイルストーンはMSワラントを最低1個行使しなければならないが、2個以上行使しても何ら問題ないということになる。

 なお、マイルストーンはカイオムの藤原社長は保有株8万株を借りる契約を結んでいる。そして、借株の期間が本年の2月12日からと言うことだから、マイルストーンは既にその8万株を入手していることになる。いずれはその株を売り、藤原社長への返却は予約権行使で得た株で行うことになると思われる。

〜結局、地合い次第か 主張〜

 皆様ご承知のとおり、カイオムは昨年10月頃からのバイオ株相場で大相場を作り、昨年9月には1,000円前後で推移していた株価が本年1月には一時2万円を超える展開となった。
 バイオ株相場が始まってからカイオムは決算発表を2回行っており、発表後の株価は対照的な動きをしている。
 1回目はバイオ株の初動期である昨年11月5日で、この際は売上高が前期比で減少するなどよろしくない決算で、発表後一旦は下げたものの、開発進展に関するIRの発表や好調な地合いに支えられて2週間後には直近高値を抜いている。
 2回目はバイオ株が軒並み直近高値を付けた直後の2月6日で、この時は通期業績予想の下方修正の発表も併せて行われたため、直後に特許出願のIR発表があったにもかかわらず、バイオ株全般の軟調地合いも影響し、株価は現在まで下落基調が続いている。
 2回目の発表時には通期予想の修正も伴ったという面はあるが、両者の最大の違いは当時のバイオ株の地合いであったと考えている。
 昨年11月と言えば、山中氏のノーベル賞受賞をきっかけにバイオ株全般が動き出していた時期であり、悪材料をこなしてしまうだけの勢いがあった。一方、本年2月、というか目下の地合いはややひいき目に見ても強弱感が対立している状況と言え、悪材料に敏感に反応した結果と言える。

 今回の増資については、予約権行使で発行された株式が市場に出てくる見込みであり、需給の悪化を招きかねないこと、また調達手段がMSワラントであることを悪材料としてとらえることができる。さらに、社長が発行発表前の2月12日から貸株を行っていることも個人的には気になる点である。マイルストーンはどのタイミングで売り始めるのだろうか・・・もう売っていたら鬼だが。
 一方で、予約権の行使が無事終了すれば、10%少々の希薄化で今後数年間の支出を賄えるだけの現金を手に入れることもできるため、(出費が急拡大しなければ)しばらくの間は増資の心配をしなくてもよいという前向きな見方もできる。
 そして、どちらの面を市場が重視するかは地合いによるところが大きいと考える。

 自分としては、今回のような10%程度の増資では重大な希薄化とまでは言えず、今後のカイオムの株価は、MSワラント発行という材料よりは、新興市場もしくはバイオ株全般の地合いに左右される部分が大きいと考えている。そのため、新興市場の今後を考える材料として、MSワラント発行を受けた週明けの株価動向が気になるところである。
 さらに、今回の株価上昇で(MSワラントかはさておき)増資を考えている新興企業は他にもいる可能性が高く、先行事例としての価値もありそうだから、今後の株価動向には注目していきたいところである。
 


posted by こみけ at 10:49| Comment(0) | TrackBack(0) | MSCB関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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