2012年11月25日

KLab(3656)のMSワラント

 21日、KLab(3656)は約25億円相当のMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権、MSSO)の発行を発表した。プレスリリースはこちら。引き受け手は久しぶりの登場となるメリルリンチである。
 本件のプレスリリースをのぞいてみたところ、
(1) 現在の株価水準が続く限り、調達額は概要に記載されている24億円には届かない
(2) 行使指示・行使制限に関する記載が紛らわしいように思える
という認識を抱いた。
 本記事では、本MSワラントの行使価額修正条項概要について説明した後に、上記(1)(2)について思うところを述べてみる。

〜当初行使価額は飾り 概要〜

 図1に本MSワラントの行使価額修正条項の概要を示す。
 本MSワラントの当初行使価額は671円と定められており、上限行使価額は定められていない一方、下限行使価額は448円と定められている。また、行使価額は行使請求の都度、修正日終値から10%ディスカウントした値に修正される。つまり、事実上、毎日行使価額の修正が行われると見なせる。
msso_3656_1.jpg図1 本MSワラントの行使価額修正条項概要

 ここで気になったのが、今回のMSワラントは株数固定型となっている点である。それ自体は別に珍しくもないのだが、株数固定型のMSワラントは行使価額が下方修正されると予約権行使に伴う資金調達額は減少する。
 今回は、当初行使価額が直近株価よりも高く設定されていることから、『資金調達の額』とされている24.7億円を達成するためには直近よりも高い株価、具体的には行使価額が671円以上になること、すなわち株価745円を上回る展開が必要である。KLabが値動きの激しい銘柄であることを考慮しても、(プレスリリース中にもデメリットとして記載はあるが)予定額通りの調達ができない可能性は小さくない。

〜何もない時は行使自由 考察〜

 本MSワラントの特徴として、KLabは、
(1) 引き受け手のメリルリンチに行使指定を行い行使を強制させることができる
(2) 予約権行使を行えない期間を指定することができる(停止指定)
ことを挙げている。
 これだけ見ると、一見KLabがMSワラントの行使を行うか否かを自由に決められるように見えるが、ここで、
(3) (1)行使指定(2)停止指定、のどちらの指定も行われていない場合
について考えてみると、この間は停止指定が行われていない以上、メリルリンチが自由に行使を行うことができると考えるのが妥当と考える。
 つまり、KLab側が予約権行使をある程度コントロール契約にはなっているものの、完全に管理できるわけではないのである。停止指定を延々と続ければ予約権行使はできなくなるが、そんなことをするとせっかくの資金調達ができなくなるわけだから、行えたとしてもせいぜい短期的なものとなり、大半の機関はメリルリンチの裁量で行使が行われると考えるべきである。
 また、行使指定は株価が下限行使価額の120%を下回る場合には行えないとプレスリリースに明記されているが、一方、予約権の行使そのものについては記載がないことから、予約権の行使そのものは(停止指定がない限りは)株価水準にかかわらず行えるものと考えるのが妥当と思われる。


 以上、本MSワラントは条件的には目新しいものはなく、それほど厳しいものでもないが、プレスリリース中の記載内容や言い回しに不十分、もしくは不親切なところがあると感じた。
 また、メリルリンチが久々にMSワラントの引き受けを行ったということで、ネット関連企業等で後に続く企業が出てこないか気になるところである。

 なお、本MSワラントの発行条件合理性評価については、マッコーリー引き受けの案件をはじめ、MSワラントがらみで度々登場しているプルータス・コンサルティングがモンテカルロ・シミュレーションを基礎として評価している。
 評価の妥当性はさておき、特定の算定機関に算定依頼が集中する傾向が出ているかもしれないのが気になる点ではある。


posted by こみけ at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | MSCB関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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