2006年11月26日

ゼクス(8913)のMSSO

 14日、ゼクス(8913)はかねてより発行を発表していた総額60億円相当の行使価額修正条項付新株予約権(MSSO)を発行した。発行発表のプレスリリースはこちら。引き受け手は、同時に発行されたMSCBと同じく野村である。
 本MSSOの修正条項は、行使価額の修正が取締役会の決定により開始されると言う点で、これまでに例を見ないものとなっている。
 本記事では、本MSSOの行使価額修正条項について簡単に説明した後に、行使価額修正について、取締役会がどのような行動を採る可能性が考え得るか、考察を試みる。

〜修正開始は取締役会で決議 概要〜

 図1に本MSSOの行使価額修正条項の概要を示す。
 本MSSOの当初行使価額は334,500円と定められている。また、上限行使価額は446,000円、下限行使価額は111,500円である。
 行使価額の修正については、いつから開始されると言うのは現時点では定められていない。07年2月14日以降、『取締役会が資金調達のために必要と認め、かつ、同時発行されたMSCBに付された新株予約権の全てが、その権利を行使できなくなった場合』に(会社側が)行使価額の修正開始を決定することができるとされているようである。要するに、本MSSOの行使価額修正は、07年2月14日以降に、取締役会が修正をやろうと決めた直後から始まるようである。
 仮に、あくまでも仮に、07年2月14日に取締役会が修正開始の決定を行った場合には、第1回の修正日は6営業日後の2月22日であり、行使価額は、行使価額の修正開始の決定を行った2月14日(行使価額修正決議日)に先立つ3営業日、すなわち2月9・12・13日の終値平均値から10%ディスカウントされた値に修正されることになる模様である。また、翌月以降については、行使価額の修正は毎月第三金曜日に行われるものと定められている。

2回目以降は決定日前の3日間
図1 本MSSOの行使価額修正条項概要

〜障壁の高さと意味合いの変化 考察〜

 さて、今回、会社側が本MSSOの行使価額修正開始をわざわざ取締役会でコントロールしようとしたのはなぜなのであろうか。
 これを考える上で参考になるのが、本MSSOの当初行使価額は、発行発表時の株価よりも50%以上高い水準に定められている点である。この点を考慮すると、現在の株価水準が続く限りは本MSSOの行使が行われる可能性はほとんどないといえるところである。すなわち、修正開始決議は、これまでのMSSOで言うところの行使許可決議(引き受け手が一定期間内に、一定数のMSSO行使を行えるようになる決議)と似た意味合いを持つと考えることができる。
 今回、会社側が何でこの行使許可決議ではなく、修正開始決議をMSSO行使をコントロールする手段として用いようとしているかは不明である。むしろ、今回の手法は引き受け手の野村が望んだことなのかもしれない。一定期間しか行使が行えないと言うのは、結構不便そうだからねぇ・・・それに、一度修正が開始されてしまえば、普通のMSSOと何ら変わらない代物であるから、売買はずいぶんやりやすそうである。


 本MSSOに関連して自分がもっとも警戒するのは、今後、当初行使価額が直近株価と同等、もしくはそれ以下に定められた上に、今回のような、行使価額の修正について恣意的な判断が入るような事例が出てくる可能性である。
 すなわち、株価が下がって予約権行使が進行しない(=引き受け手が稼げない)ような場合には行使価額の修正開始を決議する一方で、株価が上昇するような場合は、行使を促進するためにあえて修正開始は決議せず、引き受け手が多額の利益を上げてしまうような状況が出てくる可能性がある。さらに、今回は行使開始のみ取締役会決議で判断されるが、今後、(2回目とか3回目とかの)行使価額の修正を行うか否かさえも自動的ではなく、いちいち取締役会決議で行うような状況が出てくる可能性はないとは言えない。
 もっとも、これを裏返してみれば、大量保有報告書でMSSOの引き受け手の動向と、会社側の決議のタイミングをよ〜く見つめることで、会社側が既存株主をどの程度重視しているかを察知できる可能性がある。既存株主思いの企業なら、なるべく行使価額の高いところでMSSOの行使をさせようとするはずだからねぇ。

 ここら辺を考慮すると、本MSSOは、行使価額修正開始の決定権を握っているゼクス側がどのような振る舞いをするかで、会社側がプレスリリース中で語っている『既存株主への影響に配慮する』という文言がどの程度本気なのかがわかってしまう、なかなか興味深い代物と言えそうと考える次第である。
 
posted by こみけ at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | MSCB関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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