2006年11月04日

ゼクス(8913)のMSCB

 10月27日、ゼクス(8913)は40億円のMSCB及び60億円相当の新株予約権の発行を発表した。プレスリリースはこちら。・・・ここだけの話、ファイル名の先頭が「MPO」だったのには爆笑した。

 本ファイナンスは、MSCB及び新株予約権のそれぞれに注目すべき点があり、特に、新株予約権については行使価額の修正条項がこれまでに例のないものとなっている。
 本記事では、このうちMSCBについて考察を行い、本MSCBの転換価額修正条項について簡単に説明した上で、本MSCBの転換額制限契約に関する疑問点について考察を試みる。

〜毎月修正・ディスカウント率10% 概要〜

 本MSCBの転換価額修正の概要を図1に示す。本MSCBの当初転換価額は、245,300円と定められている。また、転換価額の修正が行われる日(決定日)は毎月第三金曜日と定められており、例外として第1回決定日のみは11月24日(第4金曜日)と定められている。
 各決定日における修正後転換価額は、決定日までの3取引日の終値平均値の90%になると定められている。第1回決定日を例に取ると、11月21・22・24日の3営業日の終値の平均値から10%ディスカウントした値に転換価額が修正されることになる。また、本MSCBの上限転換価額は334,500円、下限転換価額は111,500円である。

3日はちょっと短いかな?
図1 本MSCBの転換価額修正条項の概要

 なお、貸株の空売りについては、プレスリリースの最後のページに「MSCBや新株予約権の行使で得られる株式数の範囲内でなら借株を行う」かもしれないらしいので、当然、行われる可能性があるものと警戒しておくべきと考える次第である。

〜『原則』と例外 考察〜

 さて、自分が本MSCBでもっとも注目しているのは、プレスリリース1ページ『第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の転換については、原則として月間転換額を上限10億円とする契約を野村證券株式会社と締結する予定です。』と言う一文である。
 一見するとこの一文、会社側が過度の株価変動を抑制する事を目的として行おうとしている契約のように思える。しかしながら、この一文にも、つっこみどころはしっかり存在していて、『原則として』の『原則』とは何なのか、はたまた、「例外」もあって、その場合は10億円以上の転換も認めるつもりなのかどうなのか、といった点が不明なのである。

 この点について考察する際に参考になるのが、本年5月に双日(2768)が発行した3000億円分のMSCB(プレスリリース)に関する事例である。
 双日は、MSCB発行時に、MSCBの転換は原則として毎月300億円以内にする旨の契約を引き受け手の野村証券と結んだとしていた(プレスリリース2ページ)のだが、その後の転換状況を調べると、8月は1ヶ月間で460億円分のMSCBが転換されていることが確認できる(大量行使に関するプレスリリース)。しかも、この転換限度の拡大は、事前に投資家には周知されず、野村のMSCB大量転換に関するプレスリリースの中で事後報告されると言う形で発表されることとなったのである。
 この際の双日側の言い分は、『投資家の需要や株式市場への影響等を総合的に勘案し』と言うことであったから、何のことはない、会社(双日)側が好き勝手に決められると言うことだったようである。

 話を戻して、んではゼクスの場合はどうなのかというと、転換額制限に関する契約の文言は双日のMSCB発行発表時のプレスリリースに書かれたそれと全く同じである。つまり、双日と同様、月間転換額を10億円と定めた契約を会社側が自ら?放棄し、投資家があずかり知らないところで10億円を超えるMSCBが集中的に転換される可能性は否定できないところなのである。
 仮に、あくまでも仮に、月10億円を超える大量転換が行われるとすれば、新株予約権の行使価額修正が可能となる来年2月14日以前である可能性が高いように思えるので、まずはそれまでの間、生暖かい目で会社側の動向を見つめたいものである。


 本MSCBは、MSCBの転換額制限契約が、それなりに守られる契約であるのか、それとも、株価維持を目的とした単なるお題目であり、ごく当たり前に破られるものであるのかという点を見極めるための一つの参考例として注目したいところである。
 もし、本MSCBで月10億円を超える転換があったとしたら、転換額制限契約は、貸し株の制限に関する一文と同様、実質的には何ら意味がないものと認識し鼻で笑っても良さそうである。と同時に、今後、そこらへんを逆手に取った短期集中転換及び大規模な売り抜けが行われる可能性を警戒する必要が出てくると考える次第である。
 
posted by こみけ at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | MSCB関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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