「市場は効率的」とは言われるものの、倒産株が大幅上昇したりする現在の株式市場を見る限り、そんなの全く信じられないという人も多いと思う。また、「どうしてこんな糞株を」と大多数の投資家が思うような銘柄に突撃し、あっさりやられてしまうような人も後を絶たない。投資家も含めた人間心理というのは、本人以外には(おそらくは本人自身にも)なかなか理解しがたいものである。
今回紹介する書籍「投資の行動心理学 ジェイク・バーンスタイン 著 青木俊郎訳(東洋経済新報社)」は、合理的とは言えない行動をとってしまう投資家がどのような問題を抱えているかを分析し、その解決法についても模索している一冊である。
本書の冒頭では初歩的な心理学が簡単に説明され、次にそれを実際のトレード環境に当てはめていく。その上で、投資家が取り巻かれている環境や、トレードの成否などがどのように投資家に影響していくかを心理学の観点から解説している。
たとえば、家族やブローカー、同僚などの発言、自分の作ったシステムの成否、あるいはそれを無視してしまった場合の売買など、我々投資家が直面する様々な状況について述べられている。この辺は、著者自身も米商品先物のトレーダーということで、実際に体験したものでなければ直面しなければならないような点についてもしっかり述べられている。「システムを無視して売買した場合」というのは実際にやった人間でないと思いつかない局面だからねぇ(笑)。
本書で特に面白いと思ったのは、実は、内心では売買で損をしたいと無意識に思ってしまっている人が存在している、という仮説を心理学の観点から解説しているところである。
心理学的な詳しい解説はさておき概要を述べると、「勝ったときは周りからの嫉妬に晒される一方、負けたときは周りの人が慰めてくれる」と言ったように、金銭的な損益とは別に、トレーダーに与えられる報酬(金銭的なものに限らない)が存在し、場合によっては損をした場合の方がよりよい報酬を与えられるケースも存在するというのである。こうなると、口ではそんなことは言わなくとも、報酬が欲しいがために無意識に負けようとするというのである。
そして、このような無意識を克服するためには、環境を変えなければならないと言うことである。まあ、端的に言えば「つきあう人を変えろ」と言うことだそうだ。もちろん、自分自身でも勝ったときには自分にご褒美を与えるとか、積極的な動機付けを行うのも有効であると説いている。
自分としては、この仮説が正しいかどうかはどちらとも言えない。ただ、個人的にはアルコール依存症や借金癖等の問題において取り上げられる「共依存」という現象に近いものであるように感じた・・・実在してもおかしくないと思う。
それと、仕手株を扱うのなら是非理解しておきたいのが、第9章で述べられている「ランダムな強化スケジュール」である。有名な「パブロフの犬」理論をもとに語られており、どのような手法を用いれば実験動物に効率的な学習を施すことができるかを述べている。株式市場に置き換えた場合、実験動物が何で、学習とは何であるかも考えると、実に興味深い解説である。
行動ファイナンス論に関する書籍の多くが、株価や売買の理不尽な動きを心理学の面から?解説するものならば、本書は、投資家自身の理不尽な行動をどのように修正するべきかという手法を語る自己啓発の意味合いが強い本であると感じる。
本書で書かれている多くの課題は、1年程度の投資経験がある投資家ならば既に一度は経験している可能性が高い。それらの課題が明文化され、しかもある程度の解決手法が提示されているという点で、本書は高い価値があると感じた次第である。
2006年10月29日
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Y掲示板なんかでも「(この株は)私が売ったので上がります」的なコメントとか、面白おかしく書かれていたりしますが、通じるところがあるのかも。
自分でも気付かぬうちに、このような心境になってしまわぬように気をつけねばなりませんね。
とりあえず、勝った時のごほうびを考えておくことにします。
1週勝ったらステーキ、1ヶ月勝ったら新しい冬服、3ヶ月勝ったら国内旅行、って感じかな・・・。
本書中に何度も書かれていることの一つに、「利益のみをトレードの目標にすべきだ」と言うことがあります。
それこそが投資の目的であり、それ以外は考慮すべきでないと言うことなのでしょう。まあ、商品と株の違いを考慮し、完全には排除しなくてもいいかもしれませんが。
ご指摘のようなヤフー掲示板への投稿は時折見かけますが、そのような投稿に対しては、慰めてくれたり構ってくれたりする人が大抵は現れますので、そう言う反応を求めてしまうようになると売買にも良くない影響をもたらすと言うことなのでしょう。
私も、現在遂行中の作戦がうまくいったら自分へのご褒美を買おうと思っています。
具体的には、PS2を中古で買おうかと・・・そろそろ買い時だと思うのですよねぇ(笑)。