2012年02月06日

エヌ・ピー・シー(6255)のMSCB

 1月30日、東証マザーズ上場のエヌ・ピー・シー(6255、以下NPC)は15億円のMSCB発行を発表した。プレスリリースはこちら。引き受け手は野村である。
 本件においては、転換価額の修正条項は特に目新しい点はないものの、昨年野村が引き受けたMSCBとの共通点がいくつかあることが管理人の目にとまった。
 本記事では、本MSCBの転換価額修正条項について簡潔に説明した後、ここ最近野村が引き受けた事例から野村が取ろうとしている引き受け戦略について考察してみる。

〜毎月一度修正・ディスカウント率10% 概要〜

 本MSCBの転換価額修正条項の概要を図1に示す。本MSCBの当初転換価額は537円と定められており、上限転換価額は805円、下限転換価額は268円と定められている。
 また、転換価額の修正は、毎月第4金曜日に行われると定められており、直前5取引日の終値平均値の90%に修正されると定められている。

リセット条項は見当たらない
図1 本MSCBの転換価額修正条項概要

 なお、株価の低迷により転換価額が低いまま推移した場合は、転換株式数が370万株(発行済み株式総数の19.9%)に達した時点でそれ以上の転換は行わず、繰り上げ償還を行うと定められている。言い換えると、転換価額が平均で405.4円を上回らない場合は、残存するMSCBの繰り上げ償還が行われ、資金調達は15億満額は行えなくなるということである。
 なお、貸株の空売りについては、野村はNPC社長の伊藤氏から借株を行うことが発表されており、この株式の売りを行ってくることが予想される。

〜野村は少額多案件を志向か? 考察〜

 近年、MSCBは小規模化の傾向を強めている。
 過去最大のMSCBは2006年に発行された双日のMSCBであるが、このときの発行規模は当時の双日の時価総額を上回る3000億円、今回NPCが発行するMSCBの実に200倍に上るものであった。当然、株式市場はこんな感じの混乱に陥った一方、引き受け手の野村の利益額は相当なものになったに違いない。
 だが、あまりにMSCBやMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権、MSSO)の悪名が広がったためか、日証協が規制を行い、近年のMSCBにおいては、一部を除き転換に伴い新規発行される株式数は発行済み株式総数の25%以内に収まるようになった。本件においても、この枠内に収まっている。
 そんな中で、野村はどうも経費削減というか、案件の規模が小さくても高い利益率を上げることで、MSCBで確実に相応額の利益を上げる仕組みを作っているように思える。
 今回、特に目を引いたのは野村が伊藤社長の保有株式を借りることにしている点である。通常、MSCBに関する貸株の空売りを行う場合は、どこか別の場所から借りてくる必要があり、当然ながら貸株料を払うはずである。
 だが、社長から直接借りるとなれば、この貸株料を安く抑えられるかもしれない。あるいは、社長から株を借りること自体をMSCB引き受けの条件に入れている可能性もある。大株主から株を借りるのなら、確実な株式の確保ができるからねぇ。
 興味深いのは、昨年後半に野村が引き受けたアンジェスMG(4563)およびセルシード(7776)のMSワラントにおいても、大株主の社長や社外取締役が野村に対し貸株を行うことになっていた点である。
 すなわち、社長(のような大株主)から貸株を借りて確実に儲ける環境を作ることは、本MSCBだけでなく、野村が今後引き受けるMSCBやMSワラントでも継続される可能性が否定できないところである。また、別の見方をすると、大株主から貸株を受けられそうなところを野村は狙っているのかもしれない。
 かつてのように、MSCBの発行規模が大規模なら多少の利益率の差があったとしても問題なかったのだろうが、最近のように引受額が小さい場合は、このようなリスク管理、もしくはコスト管理をより厳しく行って行かなければMSCBの引受といえどもビジネスとして立ち行かないのかもしれない。

 まあ、そうはいっても、引き受け手が最終的に転換した株式を売却するのは何ら変わりないところなのであるから、個人投資家の立場としては従来のMSCBとさほど姿勢を変えずに臨めば済む話なのではないかと考えるところである。
 幸い、上で挙げた2銘柄のような前例もあるのだから、同じかどうか注視してみましょうということで。
 
 

 
posted by こみけ at 00:57| Comment(0) | TrackBack(0) | MSCB関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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