2006年10月02日

【書評】ヒルズ黙示録 検証・ライブドア

 日本中を騒がせたライブドア事件も、ライブドア株の上場廃止という一つの区切りを迎えてはや5ヶ月あまりが経過した。この間、ライブドアに関する書籍が何冊も出版され、主に社会問題としての見地から様々な考察が行われている。
 今回は、これらライブドア関連の書籍のうち、「ヒルズ黙示録 検証・ライブドア 大鹿靖明 著(朝日新聞社)」を読んでみたのでちょいとコメントしてみる。


 本書は主に堀江氏、村上ファンドの村上氏、それに楽天の三木谷社長のヒルズ族三者を軸にしつつ、ニッポン放送騒動と、(楽天が主役だった)TBS問題の裏でうごめいた皆様の動きを主にレポートしている。
 フジテレビの日枝会長やニッポン放送の亀渕社長のような当時からキーマンとして注目されていた人の他、リーマン・ブラザーズ在日代表の桂木氏や、MSCB発行に関する仲介を行ったワイエスビジテック社の山崎氏といった、当時知ることができなかった人々の動向についても述べられている点は参考になる。一方で、株式市場の動向に関する記載は極めて少なく、この点は、株式市場参加者の立場からすれば、やや不満が残るところになると思われる。
 なお、MSCBについては発行時の熊谷氏の考えやリーマン等との折衝について述べられているだけで、貸し株の動向や株式市場への影響についてはほとんど述べられていない。本書中で、MSCBとは別件の事項について、大量保有報告書を引用して語っているところがあるので、大量保有報告書の存在は(当たり前だが)知っていたはずである。ここはつっこんでほしかったねぇ。

 また、堀江氏らの逮捕容疑となった自社株関連についても記載がある(第7章)が、こちらについては新聞で連日報じられた内容とさほど変わらないように思える。せいぜい、金額や関わった人間の名前がはっきりしたことくらいか。

 あと、自社株関連の章の後半で、検察が偏った情報を流した的記述を行い、「国策捜査」との見出しも掲げているが、この認識には自分は同意できない。
 どういう形であれ、自社株の売却収入を売上として計上することは、絶対にやってはならないことであると自分は思うからねぇ。刑事訴訟で本件に関する有罪・無罪のいずれの判決が下るかも問題ではあるが、そういう手法を用いたことそのものが(少なくとも投資家の視点から見た場合は)企業として大問題なのである。となると、その証拠をつかんだというのなら、捜査を行うことが当然であると主張する次第である・・・検察がライブドアに不快感をもっていたかどうかなど問題ではない。


 本書は、ライブドアとその周辺のみなさんが表と裏でどんなことをやっていたか、ということをまとめた本としては悪くないと思う。しかしながら、「検証」という部分においては、踏み込みが足りないと言うか、客観性が少し落ちるというか、なんというか、まあ、普段の朝日新聞のような印象を受ける次第である。

 ライブドア事件に関する「検証」ではなく「読み物」が欲しい人には、ちょうど良い一冊なのではないかと考えるところである。
 
posted by こみけ at 22:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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