2011年10月17日

アンジェスMG(4563)のMSワラント

 13日、マザーズ上場のアンジェスMG(4563)は総額12億円相当のMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権、MSSO)の発行を発表した。プレスリリースはこちら。引き受け手は野村である。
 本MSワラントについては、条件面では昨年秋頃から野村が引き受けているMSワラントによく似ており特に新味がない一方、本件に関しては、実は会社側・引き受け手側共に日証協規制への対応のため不満足な部分があるのではないかという妄想を抱いた。
 本記事では、本MSワラントにおける行使価額修正条項の概要について説明した後に、日証協規制がMSCB等の発行規模にどのような影響を与えているか主張を行ってみる。

〜毎月修正・リセット価額条項あり 概要〜


 本MSワラントの行使価額修正条項の概要を図1に示す。本MSワラントの当初行使価額は83,980円と定められており、上限行使価額は129,200円、下限行使価額は45,220円(13日終値の70%)と定められている。
 また、行使価額の修正は、会社側が修正開始の決議を行ってから6営業日後(修正開始日)に1回目が行われ、その後は翌月以降の毎月第2金曜日(決定日)に行われるものと定められている。修正開始日、及び決定日において、行使価額は直前5取引日の終値平均値の90%、または後述するリセット価額のうち高い価額になると定められている。
 図1では、仮に、あくまでも仮に、本年11月11日に修正開始の決議を行い、6営業日後の11月21日に行使価額修正の決定が行われた場合の修正開始日及び決定日を記載している。

トーア紡MSワラントの図を使い回し
図1 本MSワラントの行使価額修正条項の概要


 まず、本MSワラントには『リセット価額』なるものが定められている。リセット価額の概要を図2に示す。
 リセット価額は、
1.修正開始日直前の5取引日の終値平均値の80%
2.下限行使価額
のいずれか高い方と定められる。

2.はあまり意味がなさそう
図2 リセット価額の概要


 仮に、5日連続で株価終値がリセット価額を下回った場合、行使価額は当初行使価額へと修正(リセット)され、行使価額の修正は再度修正開始の決議が行われるまで停止される。
 ただし、今回は複数の回号のMSワラントが発行されており、例え一部の回号で株価がリセット価額を下回り当初行使価額へと修正されたとしても、よりリセット価額が低い別の回号はリセットされずにそのまま修正が続くケースもありうる点には注意が必要である。

 なお、本MSワラントの発行に伴い、山田英社長が自らの保有株(何株持っているのだろう)を野村に対し貸株を行う予定である事がプレスリリース13ページに記載されている点には注意が必要である。
 むろん、何も記載せずに貸株をやってしまうのに比べればずっといいことだがねぇ。

〜第三者割当増資案件の小粒化は続くか 主張〜

 最近(前から?)、アンジェスMGは売上高に対する研究開発費の金額が極めて大きく、利益・営業CFとも赤字が続いている。今回の増資も新薬の開発に必要な研究開発費の調達を目的としており、増資の成否は会社の先行きに少なからず影響があるものと思われる。

 自分が気になったのは、今回調達を行う予定の12億円という金額、アンジェスMG的には果たして十分な額なのだろうか、という点である。
 市場環境は全く違うとは言え、アンジェスMGは2007年に行った公募増資で約70億円を得ている。一方、今回の獲得資金は仮に全ての予約権が行使されたとしてもその6分の1程度であり、本当にアンジェスMGの希望額を満たしているのか、自分は疑問に思ってしまうのである。

 また、視点を変えると、引き受け手の野村としても、利益率ベースではともかく絶対的な金額が小さいことを理由として、本件はあまり美味しい案件とは言えない可能性が高いと自分は考えている。
 野村が本MSワラントを使って色々稼ぐとして、元本から見た利益率10%で1.2億、15%なら1.8億の実入りであるから、自分としてはガリバーたる野村證券にとっては満足行く額とは思えない次第である。

 今回に限らず、最近の第三者割当増資が小規模になっている原因として、日証協の規制を挙げることができる。本規制では、発行済株式総数の25%以上を発行する第三者割当増資については(1)株主総会決議か(2)独立第三者の意見聴取のいずれかを行うものとされている。
 それを嫌がってかどうかは知らないが、本件を含め、最近の第三者割当増資は(1)(2)どちらもやらずに済む25%未満にとどめるケースが増えている。自分としては、希薄化抑止という名分があるとは言え、より多くの企業が(2)独立第三者の意見聴取を行っての大規模増資をやるのだと思っていたのだがねぇ。

 25%以上の第三者割当増資が少ない理由が、本当に規制の理念を尊重しているのか、それとも単に市場環境(株価水準・流動性)の問題なのかはわからないが、ひとたびどこかが大規模増資をやってしまえば追随する企業が続出する可能性もないとは言えない。
 特に、野村の動向は他の引き受け手にも大きな影響を与えるといえるから、今後も引き続き注意をしていきたいところである。



 
posted by こみけ at 00:52| Comment(0) | TrackBack(0) | MSCB関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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