2011年08月31日

国際航業ホールディングス(9234)のMSワラント

 25日、国際航業ホールディングスは総額約30億円分のMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権、MSSO)の発行を発表した。プレスリリースはこちら
 本MSワラントでは、引き受け手としてマッコーリー・バンク・リミテッドおよび日本アジアグループ(3751)の2社が現れており、しかも各社が引き受けるMSワラントの条件が異なることが特徴として挙げられる。
 本記事では、本MSワラントの行使価額修正条項の概要について述べた後に、MSワラントの条件が異なる点に着目し考察を行う。

〜ディスカウント率は10%と0% 概要〜

 本MSワラントは、マッコーリーが引き受けた第1回と日本アジアグループが引き受けた第2回で条件が異なっている。

 まず、第1回のMSワラントの行使価額修正条項の概要を図1に示す。当初行使価額は359円となっており、上限および下限行使価額は定められていない。
 また、行使価額の修正は行使請求の都度行われるとされており、修正日の直前取引日、または当日(立会終了後の場合)の終値から10%ディスカウントした値に定められる。つまり、事実上、毎日行使価額の修正が行われると見なせる。
 そして、株価終値が245円を下回る場合は予約権行使が行えないと定められていることから、事実上、下限行使価額は株価終値が245円の場合の行使価額(245円×90%)である220円となる。

終値245円未満は行使禁止
図1 第1回MSワラント(マッコーリー引き受け分)の行使価額修正条項概要


 次に、第2回のMSワラントの行使価額修正条項の概要を図2に示す。当初行使価額は第1回同様359円となっており、上限および下限行使価額は定められていない。
 また、行使価額の修正は行使請求の都度行われるのは第1回と同様ではあるが、修正日の直前取引日、または当日(立会終了後の場合)の終値に定められる。
 そして、株価終値が245円を下回る場合は予約権行使が行えないと定められていることから、事実上、下限行使価額は245円となる。

こちらも終値245円未満は行使禁止
図2 第2回MSワラント(日本アジアグループ引き受け分)の行使価額修正条項概要


〜ディスカウント率差の代償は 考察〜

 本MSワラントに関して、自分は、マッコーリーおよび日本アジアグループのMSワラント引き受け条件がだいぶ異なっている点に注目している。
 特に、行使価額のディスカウント率は、マッコーリー引き受け分(第1回)が10%であるのに対して日本アジアグループ引き受け分は0%となっており、一見日本アジアグループにとって著しく不公平なように見える。

 では、マッコーリー引き受け分と日本アジアグループ引き受け分では他にどのような点が違うのだろうかと考えていくと、最も大きい点として、 MSワラントの発行価額(最初に払い込む金額)がマッコーリー引き受け分は1株あたり5.45円なのに対し、日本アジアグループ引き受け分は1株あたり0.198円であることが挙げられる。
 この差は、直近株価(≒行使価額)に対して1.6%程度となることから、ディスカウント率差の一部は発行価額の差で吸収していると言える。
 また、金額で表せない面として、
(1) 今回の案件がマッコーリー主導で行われたのを考慮した
(2) 予約権行使→新株処分までの株価変動リスク
(3) 親会社としての日本アジアグループの責任のようなもの
といったことが考えられる。
 このうち、(1)については、プレスリリース中にも記載がある通り、本件はマッコーリーからの提案で行われていることから、その分の働きを考慮しマッコーリーにやや有利な条件になったことが考えられる。プレスリリースの文面等を見ても、過去にマッコーリーが引き受けたMSワラントのプレスリリースとよく似ており、この点からも本件はマッコーリー主導で行われたと自分は考えている。
 次に、(2)については、マッコーリーが予約権行使で株式を得てから処分するまでの間に株価が下落してしまうリスクを考慮している可能性を挙げてみる。反面、日本アジアグループの場合は、原則長期保有とのことなので株価変動リスクはそれほど気にしなくても良いという見方ができる。
 最後に、(3)は道義的な面である。こう、親会社たる日本アジアグループがMSワラントを引き受けるのだから、ディスカウントなどやるべきではない、もしくはやる意味がない、という認識が国際航業か日本アジアグループ、もしくはその双方にあったのかもしれない。
 なお、子会社が発行するMSCBやMSワラントを親会社が引き受ける事例は極めて珍しく、自分が知っているのは2005年のニッポン放送騒動時にフジテレビがニッポン放送のMSワラントを引き受けようとした事例ただ1件のみである(この時もディスカウント率は0%)。そして、この時はMSワラントの発行がライブドアにより差し止めされたため、実際の発行は行われなかった。よって、本件が史上初の親会社による子会社のMSワラント引き受けになるのかもしれない。


 本件は、マッコーリー主導で行われているものの、国際航業の親会社たる日本アジアグループも発行されるMSワラントの一部を引き受けているという極めて珍しい事例である。
 自分としては、MSワラントの条件そのものよりも、どのようなタイミングで予約権行使が行われ、国際航業が得た資金がどのように流れていくのかが大変興味深い次第である。


 
posted by こみけ at 01:02| Comment(0) | TrackBack(0) | MSCB関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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