2011年07月18日

フジコー(2405)のMSワラント

 13日、マザーズ上場のフジコー(2405)は5億円余相当のMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権、MSSO)の発行を発表した。プレスリリースはこちら。引き受け手はマッコーリー・バンク・リミテッドである。
 本MSワラントには、行使価額の修正条項がある時点を境に異なるという特徴が挙げられる。
 本記事では、本MSワラントの概要について述べたあと、本MSワラントの行使価額修正条項にどのような意味がありそうか考察を試みることとする。

〜8月末に修正条項変化 概要〜

 本MSワラントの行使価額修正条項は、発行から20取引目までと20取引日目から後とで修正方法が異なる仕組みになっている。
 まず、発行から20取引日目までの行使価額修正条項の概要を図1に示す。この場合、当初行使価額は898円と定められており、行使価額の上限は1,224円と定められている。また、行使価額が551円を下回った場合は予約権の行使が禁止されることから、事実上、行使価額の下限は551円に定められている。
 また、行使価額の修正は行使請求の都度行われるとされており、修正日の直前取引日、または当日(立会終了後の場合)の終値から10%ディスカウントした値に定められる。つまり、事実上、毎日行使価額の修正が行われると見なせる。

当初行使価額は無意味
図1 発行から20取引日目までの行使価額修正条項概要


 次に、発行から20取引日目から後に適用される行使価額修正条項の概要を図2で示す。この場合、行使価額の上限は1,224円と変わらないが、予約権の行使は行使価額が588円を下回った場合に禁止されるようになる。
 また、行使価額の修正は行使請求を行った直前の金曜日の株価終値から10%ディスカウントした値に定められる。すなわち、事実上、行使価額の修正は毎週行われるものと見なすことができる。

行使価額の下限が上方修正
図2 発行から20取引日目から後に適用される行使価額修正条項概要


 本件のように、行使価額の修正頻度が変わったり、下限行使価額が変更される条項が導入されたりするのは非常に珍しい。
 下限行使価額の変更については、数年前に発行されたMSCBで株価が下限転換価額を下回った場合に下限転換価額がより低い値に設定される条項が定められた事例はあるが(当ブログの考察記事)、特定の日付前後で下限行使価額を変更するという事例は見たことがない。
 また、行使価額の修正頻度が変わる事例は、自分は本件が初見である。

〜発行直後は激しいと予想? 考察〜

 ここからは、本MSワラントの行使価額修正条項の意味合いについて考察してみる。
 ここまで説明してきた通り、本MSワラントでは、発行から20取引日目までは行使価額の下限が20取引日目より後のケースよりも低く設定されており、より株価が低い水準であっても予約権の行使が可能な仕組みになっている。また、20取引日目から後では毎週修正なのに比べ、20取引日目以前では毎日修正と見なせるから、より値動きが激しい状況に対応したものであると言える。
 別にこのような仕組みを作ること自体は悪いわけではないのだが、どういう理由でこのようなめんどくさい修正条項を定めたのかは気になる所である。

 修正条項の仕組みから素直に考えれば、本MSワラントの発行直後に大きな株価変動があることを引き受け手が警戒している可能性が浮かんでくるが、そんなことは基本的には今から予測できはしない。
 また、仮に、あくまでも仮に引き受け手が発行直後に株価に関する何かを企んでいるとしても、わざわざ警戒心を抱かれるような修正条項を定めるとは自分は考えない次第である。何も2段階に分けなくとも、より厳しい20取引日目以前の条件で統一してしまえばいいのだからねぇ。
 ひょっとするとフジコー・マッコーリーのどちらか、あるいは双方の(毎日修正から毎週修正への変更による)事務簡略化か?とも思ったのだが、そんな理由で修正条項をいじるとは自分は思えない。
 今回の変則的な行使価額修正条項、結局自分の考察では妥当と思われる理由を発見することはできなかった(無念)。果たして、どんな意味があるのか、もしくはないのかが気になるところである。


 最近、MSCBやMSワラントの引き受け手が減少する中、引き受け手としてのマッコーリーの存在感は増していると自分は考えている。本件についても、個性的な行使価額修正条項の下でどのように稼ぐか眺めていきたいところである。

 
posted by こみけ at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | MSCB関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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