2011年06月14日

シーシーエス(6669)、普通株取得価額修正条項のついた優先株式の発行を発表する

 9日、ジャスダック上場のシーシーエス(6669)は約10億円分の優先株式の発行を発表した。プレスリリースはこちら。割当先は複数のファンドである。
 本優先株は普通株の取得条項がついており、一度のみ普通株取得価額の下方修正が行われる可能性があるが、取得価額の修正から普通株の取得開始までの間隔が大きく空いているという特徴がある。
 本記事では、本優先株の取得価額修正条項について説明したあと、本優先株の普通株取得に関する特徴について考察してみる。

〜取得価額修正は1回のみ 概要〜

 本優先株の取得価額修正条項の概要を図1に示す。本優先株の当初取得価額は196,000円に定められており、下限取得価額は156,300円となっている。
 取得価額の修正は1回のみ、本年10月31日に行われ、直前30取引日の終値平均(修正基準時価)が196,000円を下回る場合のみ、取得価額は修正時基準時価へと修正されることになる。従って、仮に、この期間の終値平均が196,000円を上回って推移した場合、取得価額はその後も当初行使価額の196,000円のままとなる。

ディスカウント率は0%
図1 取得価額修正条項の概要


 なお、取得価額の修正が30日間の株価終値を元に行われている。MSCBやMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権、MSSO)ではこのような長期の株価推移を用いた修正はあまり見かけないが、昨年発行されたOKI(6703)の優先株では30日間の株価終値から取得価額の修正が行われると定められているなど、優先株ではよくある事例と言える。

〜短期勝負は難しい 考察〜

 本優先株の条件で自分が最も注目したのは、優先株の取得価額修正が本年10月に1回だけ行われる一方、普通株取得開始は2012年の7月からと言うことで、取得価額の修正から実際の普通株の取得開始まで9ヶ月もあいているという点である。

 仮に、取得価額の修正後に普通株の取得請求を行い、普通株を売却(または空売り分の現渡し)し逃げるという、MSCBやMSワラントで一般的なように思える手法を用いようとしても、取得価額の修正と取得請求の時期が9ヶ月も空くとその間に株価が変動することも考えられ、損をするおそれも高まる。
 となると、引き受け手のみなさんとしては、株価が上がってくれない限り利益を出すのはなかなか難しいのではないかと考えてみる次第である。
 従って、引き受け手となるファンドのみなさんは、プレスリリースに書いてある通り(3年以上かどうかはさておき)長期の保有を前提とした戦略を立てているのではないかと自分としては思えるところである。
 別にそれが悪いというわけでもなく、2002〜2003年頃に多く見られた、短期売買で利益を上げようとするケースに比べれば大いに建設的なことだと主張したい。
 ただ、引き受け手のみなさんが最後まで優先株保有を続けるのか、どこかで普通株転換を選ぶのかは興味深い。ファンドのみなさんがどの程度の利益をこの優先株から得ようとしていたのかがなんとなくわかるからねぇ。


 本優先株は、取得価額の修正条項は厳しいものではなく、また短期売買よりは長期保有を前提とした仕組みになっていると自分は考える。
 あとは、引き受け手のファンドのみなさんがどんな出口戦略でどれだけの利益を上げるのかのんびり眺めてみたい次第である。
 
posted by こみけ at 01:06| Comment(0) | TrackBack(0) | MSCB関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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