2011年03月27日

ユニチカ(3103)のMSCB

 22日、ユニチカ(3103)は50億円のMSCB発行を発表した。プレスリリースはこちら。引き受け手は野村である。
 本MSCBでは、転換価額修正条項には特に目新しいものは見あたらないが、今後の野村のMSCBに関する動向がうかがえる傾向がつかめた。
 本記事では、本MSCBの概要や野村の動向について述べた後、今後増えるであろう増資に対する向き合い方についてちょいと述べてみる。

〜毎月修正、ディスカウント率10% 概要〜

 本MSCBの転換価額修正条項の概要を図1に示す。本MSCBの当初転換価額は66円と定められており、上限転換価額は99円、下限転換価額は33円となっている。また、転換価額の修正は毎月第3金曜日に行われ、転換価額は直前5取引日の終値平均の90%になると定められている。

修正条項はごく普通
図1 本MSCBの転換価額修正条項概要

 なお、株価の低迷により転換価額が下がった場合は、転換株式数が1億1826万株になった時点でMSCBをそれ以上転換することはできなくなり、残存するMSCBについては繰上償還が行われると定められている。
 この繰上償還は、平均転換価額が42.2円以下になった場合に発生するようである。つまり、平均転換価額が42.2円以下となった場合は、会社側は発行で手にした50億円のうち一部を野村に戻すことになる。


〜まだまだ序の口? 考察〜

 野村は昨年秋頃より、下限転換価額における転換株式数が25%以内に抑制される条項を備えたMSCBやMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権、MSSO)の引き受けを行ってきた。自分の知る限り、同種のMSCB等の発行は本件で3例目となる。
 興味深いのは、これら3例を発行順に見ていくと、
(1)10億円分のMSワラント(トーア紡コーポレーション(3204)/2010年9月30日発行)
(2)30億円分のMSワラント(日本金属工業(5479)/2010年12月16日発行)
(3)50億円のMSCB(本件)
と、だんだん発行規模が大きくなっている点である。
 MSCB等においては、引き受け手の利益額は発行規模に大きく影響される。従って、発行規模が大きければ大きいほど引き受け手としてはうまみが大きい案件であると言え、野村としては今後より大規模な案件の引き受けに邁進する可能性が高いと自分は考えている。こう、肩慣らし的な期間はそろそろ終わり、本気を出してくるのではないかな〜と。
 ただ、仮に、あくまでも仮に、野村が今後も転換株式数が25%以内に収まるような形でのMSCB等の引き受けを行うのならば、時価総額が小さい銘柄では大きな金額の案件は引き受けられないわけであるから、時価総額が大きい銘柄での引き受けを目指すと思われる。
 ・・・これはあくまでも個人的な推測ではあるが、野村的には、100億規模の案件(≒十数億の稼ぎ?)でもメインディッシュとしては物足りないのではないだろうかねぇ。もっとも、金額が小さいからと言って、小型株での引き受けをやらないわけではないだろうが。


〜25%の枠はできたけど 主張〜

 本件を含めて、最近、MSCBの発行規模を発行済株式数の25%以内に抑制する動きが強くなっている。この理由が、発行済株式数の25%超のMSCB等発行時に株主の意思確認、または独立第三者の意見入手を義務づけた日証協規制であるのは間違いない。
 23日には日本システム技術(4323)が日興引き受けでMSワラントを発行することを発表した(プレスリリース)。この事例では、株数限定型のMSワラント発行の形式をとることにより、MSワラント行使で増加する株式数を発行済株式数の25%以内に抑制している。
 株数固定方式により発行株式数を限定する日興のやり方は、株主の立場からは希薄化の程度が読みやすいという長所がある。半面、所望の金額を得られる可能性がより高いという点において、少なくとも発行企業的には野村の手法の方が評価は高いと予想できる。両者一長一短はあるが、発行企業から見た使い勝手という点で、野村の手法に人気が集まると可能性が高いと自分は考える次第である。
 ・・・結局の所、発行済株式総数の25%以内という制限ができたとは言え、既存株主の立場から見た希薄化懸念については、あまり重視されていない状況が続いていると自分は主張したい。もちろん、MSCBの転換により株数が2倍になったりしない分だけ以前よりはましになっているのだがねぇ。
 株主視点で最善なのは、希薄化度合いにかかわらず、全てのMSCB等で株主の意思確認(株主総会での議決)を要するよう日証協規制を変更することだと考えるのだが、しばらくは現状維持だろうねぇ。


 ・・・東日本大震災の影響もあり、今後は被災企業を中心に増資案件が増えることが予想される。
 自分としては、被災したり業績が悪化した企業が増資を行うこと自体はやむを得ないと考えるが、増資をどんな手法・姿勢で行うかには注視しておきたい。
 すなわち、株主総会での説明有無、増資時期(かつての日本航空のような株主総会終了直後とかは問題)、なるべく株価に影響を与えない手法をとっているか・・・など、企業の株主に対する姿勢をよく見てその後の投資行動の参考としたいところである。
 

posted by こみけ at 22:12| Comment(0) | TrackBack(0) | MSCB関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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