2010年08月14日

ノア(3383)、株価下落時における強制行使条件が付いた新株予約権の発行を発表する

 2日、名証セントレックス上場のノア(3383)は、大規模な第三者割当増資、CB(MSCBに非ず)、新株予約権(MSワラントに非ず)の発行を発表した。プレスリリースはこちら
 増資により調達する資金の用途は、LED事業への参入を目的とした、日本エーエムのLED事業譲り受けとのことである(プレスリリース)。


 今回のファイナンスで興味深いのは、新株予約権について、株価が一定水準(行使価額の半値=4,850÷2=2,425円)を下回った場合には新株予約権を強制的に行使しなければならないという条件(強制取得条件)が定められている点である。
 新株予約権を強制的に行使させる条項(行使指示条項)はMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権、MSSO)では珍しくないが、MSワラントの場合は行使価額の修正が行われ、株価が下落した場合でも新株予約権の行使で利益が出る可能性が高い。
 それに対して、今回のケースでは新株予約権の行使価額の修正はなく、強制取得時においても行使価額は4,850円、強制取得条件発動時の株価から見れば約2倍である。つまり、引き受け手は市場価格の約2倍で株を取得させられることになる。自分なら引き受けたくないねぇ。

 では、引き受け手はなぜこのような不利な条件で新株予約権を引き受けたのだろうか?この理由について、プレスリリースでは、新株予約権を引き受ける溝邉乃利雄氏、守田俊彦氏の両氏がノアの取締役に就任予定であることから『インセンティブ効果が期待できる』としている。
 確かに、株価が下がった場合に不利な条件で株を引き受けさせられるとなれば、通常のストックオプションを保有している場合とはやや違った意味で必死にならざるを得ない。
 特に、守田氏は現在日本エーエムの代表取締役を務めていることから、LED事業にも深く関与すると考えられ、増資までして買収した事業の責任の所在を明確化すると言う意味では評価できる。
 また、株価が上がった場合に利益が出る通常のストックオプションに比べ、既存株主の反発が少ない手法であるとも言える。

 一方で、溝邉氏、守田氏は日本エーエムの大株主である。今回、LED事業の譲渡価格が(岡本行生氏が代表取締役を務めるアドバンスドアイ株式会社の算定結果を参考に)370百万円と資産価格(棚卸資産のみ)の70百万円を大きく上回る価格になった(←ここ重要)。
 従って、日本エーエム側には事業譲渡益が出るであろうことを考慮すると、例え強制行使が実施されノア株の含み損を抱えたとしても、日本エーエム株の資産価値(評価額、あるいは純資産)向上と相殺できるのかもしれない。
 まあ、少なくとも今回の事業譲渡全体で損をすることはないと両氏は計算していると見るのが自然かと。どんな計算かは知らないが。
 

 ・・・個人的には、いざ強制行使が行われる段階になって、引き受け手の人が『ゐやだ』とか言い出した場合はどんな展開になるのかが興味深い。やっぱり裁判とかすることになるのだろうか。揉めている間に行使期間の時間切れとか迎えそうだねぇ。
 ・・・まあ、あくまでこれは仮定の話と言うことで。わざわざ強制行使条件とかつけているからには、きっと発動時の不利益は重大に受け止めたうえで新株予約権の引き受けを決断したのでありましょう。
 

posted by こみけ at 23:55| Comment(0) | TrackBack(1) | 銘柄ネタ(MSCB除く) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/159448964

この記事へのトラックバック

アメリカン・オプションをモンテカルロするのが難しい理由 3/5 〜最適行使問題
Excerpt: バミューダン・オプションにおける最適行使判断を行うプロセスについてBinomial Treeを用いて解説していこう。最適行使判断とは 行使することで得られるイントリンシック・バリュー=S-X 行使しな..
Weblog: 投資一族のブログ
Tracked: 2012-10-25 21:11