2009年04月19日

東証、株式上場制度の見直し案に第三者割当増資の規制を盛り込む

 先週、新聞各紙において東証の株式上場制度の見直しの中に、第三者割当増資への規制が含まれていることが報じられた。
 ネット上で最も詳しく報じていると思われる読売の記事はこちら

 本記事によると、第三者割当増資の規制内容としては、
(1)発行済株式数の3倍を超える新株を発行する企業は原則上場廃止
(2)発行済株式数の25%以上の新株を発行する企業などは株主総会の事前決議が必要
(3)株式併合で議決権を失う株主が現れる企業も原則上場廃止
であるという。

 まず、(1)のケースであるが、発行済株式総数の3倍を超える新株を発行すると言うことは、すなわち増資後の発行済株式総数は従来の株式数の4倍超になると言うことを示している。
 会社法113条3項では、発行可能株式数(授権枠)は、(増資前の)発行済株式総数の4倍以内と定められているので、そもそも原則的には(1)は起こりえない事態である。
 このケースが起こる可能性があるのは、過去の株式併合や消却により(発行可能株式数を減らすことなく)発行済株式総数を減らした銘柄が大規模増資を行う場合等のようである(参考リンク)。
 過去に上記のようなことが起きた事例としては、モックが10株→1株の併合後に大規模な増資を行ったケースがある。・・・たぶん、東証はこのモックの事例を意識しているのだろうねぇ。ある意味、会社法をすり抜けてしまったとも言えるわけで・・・。

 (2)については、これまでも度々起きてきたケースである。
 株主総会の決議をもって大規模増資を認めることにするのは、既存株主保護には望ましいことであり、本項については大いに賛同したい。
 ただ、一言言わせてもらうと、この『25%以上』という規制の網は、「1回の増資」ではなく、「1期(1年)の間の増資規模の通算」にかけてもらいたい。
 こう、仮に「1回の増資」で網をかけると、各回20%くらいの増資を複数回(3ヶ月に1回とか)行い、規制のすり抜けを図る銘柄が出てきそうな気がするのである。それは規制の趣旨に反するからねぇ。

 自分が特に気になるのは、(3)の場合である。おそらくは(1)の事態が起こるのを防ぐのが目的の一つになっていると思われる。が、本項は見方を変えると「株式併合を行う場合は同時に単元株式数の変更も行わないと原則上場廃止」と言う読み方もできると考える。単元未満株式には議決権は認められていないからねぇ。
 仮に、自分の妄想通りに(3)が運用されると、まず、短期的な影響として、1株単位の銘柄の株式併合は基本的にできなくなることが挙げられそうである。併合して生まれた端株は議決権がないわけだから、原則として上場廃止の危機が迫るはず。
 まあ、経過措置とかはあるだろうし、事前に株主総会の決議があれば上場継続が認められるような仕組みになるかもしれない。
 一方で、単元株式数が1株でない銘柄についても、将来的には(100株に?)単元株式数を揃える方向で動いている株式市場の動向を考えると、いずれは株式併合自体が困難になることも考えられなくもない。まあ、ここ数年は大した変化はないと思うが。

 今回の見直し案は、一般の意見を聞いた上で今夏にも実施される予定であるという。
 実際の規制は今回明らかになった案とは異なる内容になる可能性も小さくないとは思うが、株式併合の可能性がある銘柄を扱う人にとっては無視できない内容になるかもしれないところである。
 
posted by こみけ at 23:03| Comment(7) | TrackBack(0) | お金全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
モックの意図は、株式併合することによって、今度割当てる香港の投資家の株主比率を高めることですか。もし、そうなら株価は低迷するばかりではないでしょうか。
新株発行は発行済株式総数の何倍という枠はないのでしょうか
Posted by T&K at 2009年04月23日 13:26
>T&K さん
 コメント、ありがとうございます。

 モックが株式併合+大規模増資を組み合わせたのは、とにかく少しでも多くの資金を増資で集めたかったからだと考えています。
 こう、発行済み株式総数(≒時価総額)の2倍や3倍の増資を行うだけではとても足りないので、株式併合を組み合わせてさらに多くの資金を集めようとしたと見ております。
 会社的には、経営のためには当面の株価は犠牲にしても仕方ないという考え方だったのではないかと。

 新株発行規模の枠(発行可能株式数)ですが、会社定款で定めることになっており、上場企業の場合は発行済株式総数の4倍以内と定められています。つまり、普通だと発行済み株式総数の3倍までしか新株発行できません。
 ところが、株式併合を行い株式数が減った場合、発行可能株式数は変化しませんので、(併合で減少した)発行済み株式総数の3倍以上の新株発行ができてしまいます。モックの事例は、この隙を突いてしまったケースであります。
Posted by こみけ at 2009年04月24日 00:34
↑のコメントをちょいと修正します。
(修正前)
会社的には、経営のためには当面の株価は犠牲にしても仕方ないという考え方だったのではないかと。
(修正後)
会社的には、経営のためには当面の株価は犠牲にしても仕方ないという建前だったのではないかと。実際どう思っていたかは知りませんが
Posted by こみけ at 2009年04月24日 00:53
こみけさん どうもありがとうございます。

>ところが、株式併合を行い株式数が減った場合、発行可能株式数は変化しませんので、(併合で減少した)発行済み株式総数の3倍以上の新株発行ができてしまいます。モックの事例は、この隙を突いてしまったケースであります。

ここのところがどうもピンときません。一番
肝心のところですね。数値例をしめせばどういうことでしょうか。
Posted by T&K at 2009年04月24日 13:20
>T&K さん
 モックの株式併合+大規模増資を例にとり数値を挙げると、以下の通りとなります。

2007年9月7日時点での発行済株式総数:134,263株
発行可能株式数:300,000株

2007年9月26日:定款変更により発行可能株式数増加
発行済株式総数:134,263株
発行可能株式数:537,000株(発行済株式総数のぎりぎり4倍未満である点に注目)

2007年10月30日:10株→1株の株式併合
発行済株式総数:13,426株
発行可能株式数:537,000株(発行済株式総数の40倍弱)

2007年10月31日:400,000株分の新株予約権の発行
(全部行使されれば30倍くらいに希薄化のはずだったが一部行使のみ)

 この辺の流れは、23日付日経朝刊14面に載っています。興味があればごらんになってみてはいかがかと。

 また、この事例がなにより救いようがないのが、上記の発行可能株式数拡大・株式併合・新株予約権発行のすべてが株主総会の特別決議で承認されている点であります。
 総会時、投票結果の公表がされなかったと聞いたことがありますので、個人株主のみなさんの腹立たしさは相当なものであったことでしょうねぇ。
Posted by こみけ at 2009年04月24日 22:54
こみけさん 理解できました。

株式併合すれば、それにつれて発行可能株は減少しないんだ。

こんなことはやればその場はいいが信用だいなしですね。
Posted by T&K at 2009年04月27日 11:12
>T&K さん
 ご紹介したモックのようなことをやらかした場合、その会社はもう株式市場からは信用されることはなくなると思います。
 株式市場における会社の信用よりも重要な何かが、その時の経営陣にはあったと言うことなのでありましょう。
 
Posted by こみけ at 2009年04月27日 23:39
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