2006年01月09日

ドリームテクノロジーズ(4840)の第2回MSCB・第7回新株予約権

 5日、ドリームテクノロジーズ(4840)がかねてより発行を発表していた40億円のMSCBおよび20万株分の新株予約権を発行した。本MSCB・新株予約権発行に関するプレスリリースはこちら
 本MSCBおよび新株予約権は、ダイナシティ(8901)が発行したMSCB及び新株予約権とよく似た転換・行使価額修正条項を有するものの、引き受け手側のライブドアグループにとってさらに有利な方向に発展を遂げた形であると評して良いと考えられるものである。
 今回は、主に本MSCBの転換価額修正条項についてその概要について紹介し、その上で、ライブドアグループが本ファイナンスに関していかなる戦略を練っているか、考察を試みる。

〜下限転換価額は事実上4桁 概要〜


 本MSCB及び新株予約権は、転換・行使価額修正条項については全く同じものとなっているので、以下ではMSCBの場合を例に取り説明していく。
 本MSCBの発行発表時においては、上限・下限転換価額はそれぞれ、「30,400円または基準VWAP(12月30日・1月4日・5日のVWAPの平均値)の低い方」の150%および50%になると定められていた。発行発表後、株価は下落し2万円台後半での推移となったため、上限・下限転換価額は後者の基準VWAPを用いて算出された模様である。5日に発表されたプレスリリースによると、基準VWAPは26,448円だった模様で、上限転換価額は39,672円、下限転換価額は13,224円と定められている(プレスリリース)。
 転換価額の修正が行われる決定日は毎週金曜日と定められており、決定日までの3営業日(通常水・木・金曜日)のVWAP平均の90%を「決定日価額」と定めることにしている。この決定日価額がその時点での(修正前の)転換価額を下回る場合は、転換価額は決定日価額へと下方修正される。従って、転換価額はVWAP平均から10%ディスカウントされることになる。これらを図1に示す。

ディスカウント率10%は標準的
図1 本MSCBの転換価額修正条項概要

 一方で、転換価額の上方修正については、決定日価額がその時点での転換価額を上回るだけでなく、決定日価額が30,400円を上回らなければ行われないこととされている。決定日価額がこの水準を上回るVWAP平均値は33,778円であるから、株価水準がそれ以上にならない限りは転換価額の上方修正は行われないのである。これについて図2に示す。

33,778円は一大攻防線
図2 本MSCBの転換価額上方修正条項概要

 そして、ダイナシティのMSCBと大きく違うのが、下限転換価額の修正条項が盛り込まれている点である。一般的には、MSCBの上限・下限転換価額は一旦定められると、分割・併合などの場合を除き固定されるものである。しかしながら、本MSCBでは、1回限りではあるが下限転換価額の下方修正が行われる可能性があることが示されている。
以下、図3のような株価推移した場合を例(あくまでも例です)に取り、説明する。

事実上、基準VWAPの35%
図3 本MSCBの下限転換価額修正条項概要

 下限転換価額の下方修正が行われるのは、初めて決定日価額が下限転換価額の13,224円を下回った場合と定められている。言い換えると、(決定日価額の算出に用いられる)VWAP3日平均が14,693円を初めて下回った場合に下限転換価額の下方修正が行われることになる。図3で言うと、6月9日がそれに当たる。下方修正が行われたあとの下限転換価額である修正後下限転換価額は、下限転換価額を30%ディスカウントした9,256円に定められることになる。
 なお、修正後下限転換価額が有効となるのは、決定日価額が下限転換価額を下回った翌決定日以降であると定められているから、修正後下限転換価額が有効となるのは図3においては6月16日からとなる。従って、6月9日の決定日においては、転換価額は下限転換価額である13,224円に定められることとなり、転換価額がそれを下回るのは6月16日以降ということになる。
 なお、ひとたび下限転換価額の修正が行われた場合は、その後株価が回復しても修正後下限転換価額が有効であり続ける模様である。 従って、本MSCBの下限転換価額は、修正後下限転換価額である9,256円であると見なすのが妥当と考えるところである。

〜ドリテクはダイナシティと同じ道を辿るか 考察〜


 さて、本MSCB、新株予約権について考えるにあたり最も興味深いのが、ライブドアはドリームテクノロジーズやその子会社となる予定である平成電電を傘下に収めるべく引き受けを行ったのか、それとも単に利ざやを稼ぐ目的で引き受けたのかという点である。

 これを考える上で参考になるのが、一足先に良く似たMSCBおよび新株予約権の発行を発行を行ったダイナシティ(8901)に関する動向である。ダイナシティの事例においては、ライブドアグループは総額400億円相当のMSCBおよび新株予約権を引き受けただけにとどまらず、創業者一族の保有株式を引き取り筆頭株主になったりもしている。さらに、ダイナシティ次期社長にライブドア取締役の宮内氏が就任予定であり、堀江社長も取締役に就任予定である(プレスリリース)など、ダイナシティについては、MSCBや新株予約権行使で得られる全株を保有し続けるかどうかは別として、ライブドアグループ傘下におさめる意向である可能性はきわめて高いといえる。
 これと比較すると、ドリームテクノロジーズの場合においては、ライブドアはMSCBおよび新株予約権の引き受けを行ったのみであり、現時点では筆頭株主になったわけではない。
 しかしながら、事業のシナジー効果の観点から考慮すると、ライブドアとしては通信事業は是非手に入れたい事業であり、以前ライブドア自身が平成電電のスポンサーとして名乗りを上げたことも報じられている(記事)。また、正直どうなるのかはまったく見当がつかないが、第三者割当増資やCB(MSCBに非ず)を引き受けた村上ファンドから株式を買い取る可能性も考えられる。いずれにしろ、ライブドアが、平成電電を自らの傘下におさめる選択肢を完全に排除しているのは考えにくいところである。

 一つ確かにいえることは、ライブドアグループが引き受けたMSCB・新株予約権は、株価が33,000円台に上昇しなければ転換価額の上方修正はされないということである。つまり、ライブドアとしては、株価水準がこれ以上にならなければ、株価が上昇したとしても得られる株式数は減少しない。
 この特徴を生かし、いつでも大量の株式を得られる権利を手にした状態で、平成電電の再建をじっくり見極めてから動くという可能性もあるのではないかと考えるところである。
posted by こみけ at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | MSCB関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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