2006年01月07日

【書評】株でいこう! お兄ちゃん ネット・トレーディングしよっ

 ここ数年、株式投資を新規に始めようとする人がずいぶん増え、かつ、ネット証券をはじめとする証券会社は新規参入者の取り込みに全力を尽くしている。そんな状況で、かつては無味乾燥としたものがほとんどであった、株式に関する書籍も様変わりし、紙面がカラーなのは当然として、図表や写真、イラストをふんだんに使うだけにとどまらず、タレントが解説を行う本や、果ては漫画の解説本まで出版されている。多分、それはとても良いことなのだと思う。株式投資は敷居が高いという思い込みを和らげるのにそれらの書籍が役に立てば、株式投資を行う人も増えるし、市場も活性化するのは確かだからである(ただし、株は簡単に儲かるなどと煽る本は問題あり)。
 かくいう当HPも、プレスリリースをはじめとする文章だけではわかりづらい、MSCB(や新株予約権)と言うものに関する考察を、図面を用いて行うことにより、なるべくわかりやすく説明しようと試みている記事が主力記事の一角となっており、読んで下さる方も多いようで、大変ありがたいことである。

 前置きが長くなったが、今回紹介する書籍「株でいこう! お兄ちゃん ネット・トレーディングしよっ」も、これらの書籍等のように、株式というものをなるべくわかりやすく解説するべく、「株」を「妹」に置き換えて解説を進めていく書籍である(公式サイト)。
 ・・・当ブログをお読みの方のうちどれだけがこの発想の転換についていけるのだろうか・・・自分もこの突っ走り具合についていくのに苦労したんですよ、ええ。

 本書は、光太郎という青年が株式投資をスタートするところから始まる物語形式となっている。証券会社に口座を開設するところから、チャートの見方、株主優待の話など、一通りの流れが書かれているので株式投資が全く初めて、と言う人でも大丈夫な構成となっているとなっている。本書の傾向としては、株主優待等についてもかなりの紙面をさいているが、どちらかと言えば、短期投資に重点を置いた内容であるように感じる。無論、それらを説明する部分についても、「株」が「妹」に置き換わっており、イラストのみならず文章においても株ではなく妹であることを前提とした表現になっているのである。
 ・・・本書は本の流れを話してもつまらないので、以下に自分が突っ込みたい場所を列記してみた。なお、本書中の表現等を引用した個所を赤字で示す。こんなの自分には発想できないって。


議決権の説明をジャージ派とブルマ派の争いということで済ませるっていいのかそれで。ライブドア株主総会での我々配当賛成派はジャージ派ですか。どうせだったらスパッツ派にしてくれた方がいいのに。
非上場企業(の株)が箱入り娘かつ美少女であるように描かれているが、上場基準をクリアした企業のみが株式を上場できるという点を考慮すれば、この表現は間違っている。
大証の妹がたこ焼きなのはいいから福証の妹がふんどしな理由を説明してくれ。
・IPOが初心者の関心事であるのは間違いない、だが段ボールの中に全裸の妹が眠っている描写というのはどうなのか。実際に行動を観察できる既上場株と比べてどんな中身かわかりづらいと言うことを表現しているとすれば、概ね正しい表現のような気がするのだが、本当にその表現でいいのだろうか。
・決算発表については極めて重要な説明事項であるのは間違いなく、それを通信簿、と表現するのは妥当である。が、妹が通信簿を差し出しつつ「お兄ちゃん、私、がんばったんだよ・・・。」と言うのは余計だ。しかも微妙に顔が赤いし。
・「日経四姉妹」って、本書の設定的にはどこまでが姉でどこからが妹ですか。あと長女が御年130歳になりますがいいんですか。
・すいません、自分も何十冊も株の本を読んできましたがローソク足(陽線)を「白い生足」と形容した書籍は初めてです。
・フジテレビvsライブドアのところの「株式の取得と議決権の関係」は描写がえぐすぎると思う。事実だけど。法人に人権はないってことだねぇ。
「クラウン・ジュエル」の解説として「あんなお兄ちゃんの妹になるなら〜!!」と言って妹が自らの服を破る描写を示すのは極めて正しいものであると思うが、本当にいいのかそれで。ていうか、その流れで行くと堀江社長は親子丼を欲したことになりませんか。大丈夫なんですかそれで。
・巻末の用語集の「妹」の項。「いたずらっ子で言うことを聞いてくれないところがかえって愛おしかったりする」って言うのは一つの真理だと思う。ところで、そのいたずらっ子の代表格はドリームテクノロジーズ(4840)ですか、それともサンライズ・テクノロジー(4830)ですか。
・巻末の用語集の「ストックオプション」の項。そのイラストは何をどう考えても該当人物が一人しかいませんが。


 ・・・と、色々突っ込ませていただいたが、参考資料としてみれば、イラスト等でわかりやすく、かつ一通り株式のことを説明している書籍であると見なすことができると思う。資料集としては並の初心者向けの本よりもはるかに充実しているので、他に1、2冊初心者向きの本を買い、その本で分かりにくい点があったら本書を参照する、と言う使い方が効果的であると思う。ていうか、最初から最後までいっぺんに本書を読み切れる人はあまりいないと思う。

 もっとも、そもそも本書を生理的に受け付けない人もかなりいそうである・・・その辺は、人それぞれと言うことで。色物本としてではなく、純粋に株式入門の書籍として見てもかなり充実している点については認めるが、万人向けではないのもまた確かなところである。少なくとも電車で読める本ではありませぬ(笑)。
posted by こみけ at 23:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
むむ?
つまり、この本を買われたので・・すか?
エンタメ本としての1890円は、ちと高いかな。
Posted by yuragi at 2006年01月09日 08:00
>yuragi さん
 をを、この記事にコメントして下さる方がいらっしゃるとは思いませんでした。実にうれしいことであります。

 この本は、当HP閲覧者の皆様が当HPを通じてAmazonで本をお買い上げになられた場合に、自分が受け取ることができる紹介料で購入させていただきました(皆様に感謝!)。ですので、自分でお金を出したわけではありません。もし自分でお金を出すとしたら、かなり悩んだと思います(笑)。

 自分も当初、お遊びの本だと思っていたのですが、自称カリスマ主婦トレーダーの本に比べればはるかに役に立つと思います。全くの初心者にとってなら、値段分の価値はあるのではないかと。
 まあ、既に株式投資をやったことがある人にとっては、おっしゃるとおり「エンタメ本」の分類が適当かと思いますがねぇ(笑)。
Posted by こみけ at 2006年01月09日 11:17
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