いよいよ今年も残すところ数時間となってしまった。昨年までは大みそかも忙しく働いていたが、今年は社会人にクラスチェンジした&不景気なこともあり、比較的のんびりした年末年始となっている。
ということで、本年出されたIRやファイナンス等のプレスリリースのうち、管理人が面白いと感じたものを特に選りすぐって紹介してみることにした。
なお、以下の選定はあくまで管理人の独断と偏見で行ったものである。多数の取りこぼし等があると思うが、その辺はご容赦を。
○おもしろIR
新興市場中心に騒ぎが起きていた昨年からは一変、本年は世界的な金融不安の嵐が吹き荒れた。このような混乱の中、各企業が出すプレスリリースは見過ごされるものが多かった。
だが、そんな中にもきらりと光る一品もある。以下に示すのは、管理人の脳裏に本日まで生き残り続けたおもしろIRたちである。年末発表のものが多いのはご容赦。
第1位 サハダイヤモンド(9898) 子会社に係る新規事業の開始に関するお知らせ
子会社で新規事業を始めるのはいいとして、『株主、投資者の皆様に評価いただく為の合理的に算出・立案された事業計画はございません』という開き直りというか行き当たりばったりというか、もうちょっと言い方あるだろう的な文面を載せてしまった一品。
誰か止める人は社内にいなかったのだろうか。
第2位 春日電機(6650) 当社代表取締役の違法行為差止仮処分命令申立事件の決定について
上場企業の代表取締役が、自らの会社の監査役が申し立てた仮処分命令を受けてしまうという一見理解しがたい状況を報告したもの。内容はさておき、自分が言いたいのは「ゼクーみたいに社長もプレスリリースで反撃したらもっと面白かったのに」ということである。
第3位 エルクリエイト(3247) 借入による資金調達の状況に関するお知らせ
自社にとって不利な情報を隠そうとする企業が多い中、資金調達がうまくいっていないことを、見ている方が心配になるくらいに投資家に周知した一品。
その後もこまめに周知し続けるも最終的には破産してしまったが、開示姿勢は最後まで評価に値するものだったと思う。
第4位 ニューディール(4740) 株式事務代行委託契約の解除通知の受領について
ニューディールの経営状態は数年前から厳しかった。だが、倒産や業績不振、株価低迷で上場廃止になることを予想していた人はいても、株式事務手数料の未払いで上場廃止の危機が迫ることを予想した人はいなかったに違いない。
というか、いくらか知らないけどそれくらい払えよと思う次第。みんな思っただろうが。
第5位 日本トリム(6788) 自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ
発行済株式数4,429,609株の日本トリムが上限60,000万株もの自己株式買付を宣言したということで、訂正プレスリリースが出るまでの間盛り上がった一品である。
昨年までは、この手の訂正ネタは人ごとのように見物していたが、今年になってからは「人ごとじゃないな・・・」と思うようになった。正直、自分もいつやってもおかしくない・・・。
(番外)東京証券取引所 著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスについて
マザーズの某銘柄が発行済株式総数の数倍の増資を行うことを発表したのと時をほぼ同じくして東証が発表したプレスリリース。文面から東証の苛立ち具合が伝わってくる一品である。
(番外)金融庁 テラメント株式会社に対する大量保有報告書の訂正命令について
トヨタ、NTT、ソニーなど日本を代表する大企業の株式の過半数を手にしたとの報告がなんの前触れもなく行われた事件。一部の関係者は額に青筋を立てつつ休日返上で働き、その他大多数の傍観者は週末大爆笑した一品である。
でも、本件は実際には株を保有していないのは明らかだったから皆わかったけど、小型株で10%、とか出されたら多くの人は信じる可能性が高い。EDINETの改善を早急にして欲しいところである。
○注目優先株
MSCB等に比べ注目度が落ちるが油断できないのが優先株。本年は変化球が出てきたのを探知した次第である。
・イー・アクセス(9427) 第1種優先株式
ここ数年、普通株式への転換権がついた優先株の発行が増えている。最近話題になった事例としては、GSなど金融3社とパナソニックの間で熱い駆け引きが行われた三洋電機の優先株が挙げられる。これら、転換権付の優先株については、普通株式への転換が行われた場合は株式の希薄化が進行するのではないかという懸念が常につきまとう。
上記懸念を払拭すべく、イー・アクセスが発行を決めたのが普通株式への転換権のない優先株である。・・・こう書くとすごいことのように見えるけど、別にそれほど珍しいものでもないんだよねぇ・・・配当も結構持って行かれるようだし。わざわざ『普通株式の希薄化が生じない』などとタイトルにまで書く必要があったのかな〜と思う次第である。
○凶悪銘柄特別賞
本年は世界的な金融市場の激変により、破綻したり、なりふり構わぬ生き残り策をとったりした企業が多数現れた。その結果、株式市場では国内外問わず暴落する銘柄が相次いだ。
だが、以下に挙げる銘柄は、並の暴落銘柄とは一線を引くべき凶悪さを放ったと管理人が自信を持って推薦する銘柄である。
・アーバンコーポレイション(旧8868)
本年後半の新興不動産急落の一因となった銘柄。
BNPパリバ割当で300億円のCB(MSCBに非ず)を発行し資金調達を行ったと発表。しかしながら、実は裏でURBAN-BNPパリバ間のスワップ契約を結んでおり、8月中旬までに300億円のうち92億円しか事実上入金されていなかったことを倒産のプレスリリースと同時に発表するという噴飯ものの結末となった。
本件については金融庁が動いているほか、株主訴訟も起こされている。今回の一件を教訓に、情報開示制度のより一層の改善を期待したい。
○注目MSCB・MSワラント
今年も数多くのMSCB・MSワラント(行使価額修正条項付新株予約権、MSSO)が発行された。だが、これまでの数年でネタが出尽くしたのか、仕組み的に目新しいものはそれほど多くなかった。来年以降に期待(?)したい。
以下は、そんな中でも管理人が注目したMSCB・MSワラントである。
・住友不動産(8830) 第1回MSワラント
三井住友銀行信託口を引き受け手として発行したMSワラントで、劣後ローンの回収手段?としての意味合いがあるらしい。MSワラントを担保に取った融資、とも言える。不動産などの現物?担保がいらない便利な融資手段として広まるのではないか、と思っていたのだが、これまでのところ予想に反して拡大の兆しはない。
・ダヴィンチ・アドバイザーズ(4314) 第1回MSワラント
3月に発行した本MSワラントは、第1回の行使価額修正及び下限行使価額の決定が12月に行われる仕組みになっていた。発行当初はそれほど問題視されていなかったが、いざ12月になってみると、170,000円→6,196円へと約96%程の豪快な行使価額の下方修正が行われてしまった。
多分、発行当初はこうなるとは誰も予想していなかったし、引き受け手のBNPパリバも困っているだろうねぇ。金額ベースで一気にMSワラントの予約権行使ができないと言うことは、長い時間かけて少しずつ行使しなければいけないわけだし。まあ、だからといってBNPパリバが損するわけではないのだが。
○注目MSCBプレイヤー(引き受け手)
いうまでもないことだが、増資等のファイナンスを行うためには、発行元の他に引き受けを行う組織が存在することが必要である。昨年までは証券会社、金融機関、ファンドなどが潤沢な資金を背景に次々と引き受けを行っていたが、本年はその流れが一変した。
だが、以下に挙げる企業は、そんな逆風をもろともせず、感動的なファイナンスをいくつも引き受けたと管理人は評価した次第である。
・BNPパリバ証券
前述のURBAN、ダヴィンチのファイナンス引き受けを行った証券会社である。世界的な金融市場の混乱で国内外の各社がリスクを取りに行くのを控える中、感動的なファイナンスを複数引き受けた点を評価した。
なお、上記2件に関するプレスリリースには、『BNP Paribas S.A. はフランスを代表する世界有数の金融機関であります。』とか、『ビー・エヌ・ピー・パリバは当社のビジネス及び財務戦略についても熟知しており』とか、BNPパリバのすばらしさを述べる文章が記載されている(『割当先を選定した理由』の項)。この文章、URBANやダヴィンチが考えたのか、それともBNPパリバが用意したテンプレートをそのまま使ったのかが気になっている。
まあ、まさか金融庁の処分を食らうようなファイナンスをやるに先立って自画自賛とかはないでしょうねぇ。
○2008年最凶MSCB
本年の最凶MSCBを選定するに当たっては結構悩んだ。数銘柄に候補を絞るところまでは楽にできたのだが、そこから先は一長一短があった。
だが、MSCBの条件そのものだけでなく、株価動向、発行企業の広報姿勢などを総合的に考慮すれば、やはりこの一品しかないだろう、との結論にたどり着いた。
・エルピーダメモリ(6665) 第1回MSCB
本年最凶のMSCBとして管理人が選定したのが、日経平均がつるべ落としに下げている10月に発行を発表し、自社株価が暴落した後の11月に発行し、来年1月に繰上償還予定のエルピーダメモリのMSCBである。
選定理由としては、発行のタイミングが最悪だったことがまず一点。
次に、MSCBであることをぼかそうとしている上、貸株・月間転換可能金額で抜け道があると読めてしまったりするなど、不誠実と言われても仕方ないプレスリリースの内容も問題視した。
おまけに、株価の暴落を引き起こしていながら、全く転換されないまま繰上償還されてしまうというなんの実りもない結末を迎えそうという点も他候補を引き離すのに寄与した(1月6日追記:1月5日にエルピーダより本MSCBのうち60億円分が転換されたことが発表された)。
あと、個人的には繰上償還決定後の社長コメントも気になった。社長自身は知らないかも知れないが、一人くらいMSCBの問題点を知っている(&進言する)取締役なり財務担当の重役がいてもいいだろうに。
というか、野村の担当者に聞いてもいいだろうに。相手はMSCBのプロだというのに・・・。
以上、本年はこれまでにない金融危機の余波を受け、おもしろIRも経営危機の窮地の中で生み出されたものが大半を占めた。
危機を乗り越えようとする人間の必死の努力が美しいものだとすれば、経営危機をなんとか乗り切ろうとする中で生まれたファイナンスの中にも美しさがにじみ出ているものがあるのは自然の理であるといってもいいかも知れない。
来年も厳しい市場環境が続くであろうが、おもしろIRが出たときには笑ってみられるくらいの余裕は持って市況に向かい合いたいところである。
それでは、以下に各部門のまとめを述べ、本記事を締めさせていただく。
○おもしろIR
第1位 サハダイヤモンド(9898) 子会社に係る新規事業の開始に関するお知らせ
第2位 春日電機(6650) 当社代表取締役の違法行為差止仮処分命令申立事件の決定について
第3位 エルクリエイト(3247) 借入による資金調達の状況に関するお知らせ
第4位 ニューディール(4740) 株式事務代行委託契約の解除通知の受領について
第5位 日本トリム(6788) 自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ
(番外)東京証券取引所 著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスについて
(番外)金融庁 テラメント株式会社に対する大量保有報告書の訂正命令について
○注目優先株 イー・アクセス(9427) 第1種優先株式
○凶悪銘柄特別賞 アーバンコーポレイション(旧8868)
○注目MSCB・MSワラント
・住友不動産(8830) 第1回MSワラント
・ダヴィンチ・アドバイザーズ(4314) 第1回MSワラント
○注目MSCBプレイヤー(引き受け手) BNPパリバ証券
○2008年最凶MSCB エルピーダメモリ(6665) 第1回MSCB
それでは、皆様も良いお年を!
2008年12月31日
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今年は、益金で【8301】を買えるようになりたい。
ところで、なんであんなに最低投資金額が高いのだろう?
あけましておめでとうございます。
本年は、まずは昨年の損失を取り戻すところから始めることになりそうであります。厳しい市場環境でありますが・・・。
8301は四季報には載っていないので、しばし戸惑ってしまいました。
単位株価が高いのは、単純に考えれば、流動性を高めたり株主を増やす必要が特にないからじゃないでしょうかねぇ。
分割とかやっても誰も文句言わないでしょうし。
あと、ここは配当金が1株1円という噂を聞いたのですが、真実なのでしょうかねぇ。驚くべき低利周りなのですが。
会社四季報新春号P2028
****://www.jetsnet.co.jp/nyumon/kbnyu/bn/kabunyu_69.html
以下、↑のコピペ
日銀(日本銀行)の株は誰でも買えるの?
新聞の株式欄で、JASDAQの銘柄をみると「日銀」っていうのがあるんだけど、
日銀(日本銀行)の株が他の株と同じように売買されているってこと?
売買は、普通の株と同じように行われています(証券コード8301)。ただ、日銀は
株式会社ではないので、株式ではなくて、出資証券というものが売買されています。
出資証券って?
普通の銀行は商法に基づく株式会社なので、株式を発行しているのですが、日銀は、
日本銀行法に基づいて設立された「認可法人」で株式会社ではないので、株式ではなく、
出資証券というものを発行しています。
株式とはどう違うの?
まず、議決権がなく、株主総会もありません。
また、配当についても財務大臣の認可、上限など規制があります。
配当っていくらぐらいもらえるの?
日銀は資本金が1億円で、配当の上限が5%なので、全体で5百万円の配当金を
払っているだけです。日銀の出資証券は、額面が100円なので、1株当たりの配当金は、
5円になります。株価は、数万円ですので、数万円投資して配当は5円ということになります。
利益が出てるみたいだけど、配当で支払わないんだったら、その利益はどうするの?
日銀の場合は、普通の会社でいう利益のことを「剰余金」というのですが、「剰余金」から
準備金に積み立てたり、配当を支払った後のお金は、国庫納付金として政府に納付されます。
そうすると、日銀の出資証券を持っていてもあまりいいことはなさそうなんだけど、
なにかメリットはあるの?
経済的なメリットはあまりないですね。強いていえば、「つぶれない」ということでしょうか。
配当金については、日銀の決算報告の中に記載がありました。1株5円のようですね↓。
http://www.boj.or.jp/type/release/teiki/kaikei/zaimu/zai0805a.htm
日銀株を持つメリットですが・・・自分の印象を言わせていただけば、「ステータスシンボル」ですかねぇ。
「日銀株を持っている」とか言うとなんかかっこよさそうです。
おもしろIR、相当笑いました。
今年も期待しています。
あけましておめでとうございます。
正直、記事を書き始める段階では十分なネタが集まるか心配していましたが、こうして眺めてみると昨年も結構おもしろIRが出てくれた年でした。
本年もあちこちにつっこみを入れてみようと思います。
よろしくお願いいたします。