2008年06月15日

【書評】「おひとりさま」のお金の本

 「自分もそろそろ長期的なマネープランを考えてみるべきだ」−ある日どこからともなくこのような電波を受信した。

 当ブログは資産運用全般について述べると掲げてはいるものの、語っていることはほとんどが株式に関することである。
 それは自分のお金に関する知識水準についても同様で、自分には、株式・投信・FX等、個別金融商品に関する知識はそこそこあるかもしれない一方で、マネープランに関する知識は極めて乏しいことを最近実感するようになった。
 特に、保険については適正な加入プランを自分では判断できず、親に相談した上でプランを決定するといった事態も発生してしまっている状況である。

 このままではいずれよろしくないことが起きそうだから、まずは参考になりそうなマネープランの本を買ってみるかということで、先日書店に行ってマネープランに関する本が置かれた棚を眺めてみたところ、9割近くが団塊の世代向けに書かれた本であった。これでは、まだ見習い社会人である自分の役には立たない。
 また、残り1割の本では対象年齢は特に限定していなかったが、多くは紙面の大半を各種金融商品の紹介・比較に費やした本であった。この辺は今更復習しなくてもそれなりにわかっている分野である。
 従って、自分が知りたいと思っていた、将来の生活に必要な資産額や同世代の貯蓄状況などを説明した書籍はほとんど見あたらなかった。

 そんな中、30分近く同コーナーをうろうろして発見・購入したのが、今回紹介する書籍「『おひとりさま』のお金の本  森永卓郎 監修 (主婦と生活社)」である。
 本書は、シングル女性向けに書かれたお金に関する本であり、お金に関する問題を初めて考える人でも一通りの問題を認識できるよう、資産運用に限らず広範な分野に言及している一冊である。


 前置きが長くなったが、ここからが本書に関する内容である。
 本書は、まずシングル女性を「純粋おひとりさま(未婚女性)」「離別おひとりさま(離婚女性)」「死別おひとりさま(夫と死に別れた女性)」の3種に分類し、それぞれについて、マネープラン策定において気をつけるべき点を述べている。
 その後、老人ホーム、海外移住など、様々な形態の老後生活を実現するのに必要な資金額について紹介し、その実現に必要な資金を作るために必要な節約術と資産運用法について述べる流れとなっている。
 
 本書の良い点は、老後に必要な月収額、受け取れる退職金の予想額、各種老人向け施設の入所料といった、マネープランを考える上で必要な情報がしっかり書かれている点である。
 このような必要経費については多くの本が掲載を省いている。これには、読者のお金に関する事情が一人一人で異なるから意味が薄い、もしくは余計な思い込みを生ませることになりかねない、という理由があるのだとは思う。しかし、この点の説明を省いていいものだとは思わない。
 もちろん、マネープランは最終的には一人一人異なるものになるのであるが、マネープランを立てる上での参考となる情報は必要である。
 自分はまだ老後プランについては何も決めていないが、それでも、医療・葬儀等に関する資料は参考になった。このへんの情報は、しかるべき本を読まないとなかなかわからないことが多いからねぇ。
 
 そして、生活費の節約に関する記述が充実しているのも本書の特徴である。この辺は女性向けだからであろうか。
 まずはじめに支出チェックリストが準備されており、住居費・生命保険・・・(中略)・・・化粧品代・美容院代など、一月当たりの支出を細かく記載することができるようになっている。その上で、各項目の支出の削減手法が簡単にではあるが述べられている。
 支出項目のうち、特に、食費・光熱費の節約については、物価高の今日では特に重要ではないかと。ただ、節約手法の内容については初歩的?なものが多いようだから、ある程度一人暮らしに慣れた人にとってはそれほど目新しいものはないかもしれない・・・自分にとっては役立ったが。

 最終章は資産運用の章となっており、金融商品等の特徴が紹介されている。
 ただ、内容はあくまで「余ったお金の投入先」という扱いとなっており、「まず3年分の生活費を貯蓄すること」という念押しがなされている。また、本章における金融商品の紹介自体は簡潔なものとなっており、おそらく当ブログをご覧の方にとっては不要なものであろう。
 本章で一点気になったのが、金(Gold)を投資資産の10%程度保有するように推奨している箇所である。
 金の保有を推奨すること自体は考え方のひとつではあり、そこに文句をつけるつもりはないのだが、そのリスクに関する説明が不十分ではないかと思うのである。その前の「金融商品のリスクを知る」という図に、金のリスク・リターンも加えておけば良かったと思うのだがねぇ。少なくとも株式並みのリスクがあるという表示になるだろうから、それだけで読者への注意喚起になるはずである。
 まあ、そうは言っても本書においては資産運用の章はおまけのようなものである。本当に資産運用に関する知識が必要だと感じた人は、しかるべき本を買うのではないかと。


 本書は女性向けに書かれた本ではあるが、男性(特に独身者)が読んでも参考になる部分は多いと思う。
 収入には気をつけているけれど、支出にはあまり注意を払っていない、といった人には特にお薦めの一冊である。
 
posted by こみけ at 19:14| Comment(10) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
土曜日のG8の声明が相変わらずお粗末な内容だったのでどうなるかと思っていました、
しかしながら円安・ドルじり高の傾向は変わりません。

取りあえずは今日の日本は380円ほど上げましたが・・・。
このまますんなり上げて行くとは思い難い状況とみています。
Posted by トクサン at 2008年06月16日 19:04
>トクサン さん

 今日の日経平均は後場寄りにずいぶんあげたようですねぇ。中国市場が反発したことが大きかったのでしょうか。

 まあ、まだまだ慌てて買いに入る必要もないと思います。先ほど買ってきた四季報でも眺めていようと思います。
Posted by こみけ at 2008年06月16日 20:30
昨日のNY下落でも今日の日本は上げました。
今日のNYはモルガン・スタンレーの決算を受け下落して始まりました。
23時20分時点で66$ほど下げています。
NYは当面上昇しそうにもないですね。
さて、明日の日本は如何に???
Posted by トクサン at 2008年06月18日 23:22
>トクサン さん
 をを、米国の下落はモルガンの影響でありましたか。それは知りませんでした。
 明日の日本でありますが、正直、「どうでもいい」というのが自分の現在の心境であります。
 明日どちらに行くにしろ、今月は自分が動きたくなる局面はこないようですので、市況の動き自体は冷めた目で見ようかと。四季報の方をより真剣に見ようと思います。
 
Posted by こみけ at 2008年06月18日 23:28
こみけさんの言われる様に当面日和見でよいと思います。
下手に動くと怪我をする”腫れもの”状況でしょう。
遠くから眺めていた方が無難と思います。
Posted by トクサン at 2008年06月19日 00:13
>トクサン さん
 この時期に何をやるかは結構後につながりそうですね。
 ボーナスをたくさんもらえる人なら、いろいろ装備(PCや本など)を買えそうなのですが、自分はお金がないので銘柄分析が主になりそうであります。
Posted by こみけ at 2008年06月19日 20:58
暫くは大変ですね。
金銭的に一息つくのは冬のボーナスでしょうか。

私の最初の冬のボーナスは標準評価の95%だった様な記憶があります。
それでもRichな気分になった思い出があります。
当時浦和にいた妹を赤坂のホテルに呼び出して初ボーナスをもらった記念として夕食を御馳走しました。
そのホテルは今はありません。
何故って・・・ニュージャパンです。
Posted by トクサン at 2008年06月19日 22:44
>トクサン さん
 本日、ボーナスが口座に振り込まれたのを確認しました。天引き額が予想以上に大きく、住民税を払うことすら無理な額でありました。
 こうなったら、冬のボーナスに期待するしかありません。もっとも、新人はそれほど多い額ではないとも聞きますがねぇ。

 ニュージャパンでお食事とは大変な思い出ですね。ただ、ニュージャパンは高級ホテルだったと聞いたことがありますので、妹さんもさぞお喜びだったことでしょう。
 私も、そのうち親を京都にでも招待しようかと思います。ドラゴンズの地からでも結構近いですからねぇ。 
Posted by こみけ at 2008年06月20日 20:21
相場の雲行きが怪しいですね。
来週は下げ局面があるかもしれません。
さて・・・?
Posted by トクサン at 2008年06月20日 20:26
>トクサン さん
 今日の下げは、短期の買い方の人には結構痛手だったのではないかと思います。場中でだいぶ下げましたので。

 もし下げに入る(もしくは入った)としても、来週中に底がくるとは考えにくいですから、まだ焦る場面ではないと思います。
 買い時に焦らず出動できるよう準備を整える時間帯ではないかと。
Posted by こみけ at 2008年06月20日 21:49
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